たんぱく質摂取不足から生じる影響について4

 たんぱく質の摂取不足の影響について考えています。もう止めようと思いましたが(笑)、もう1回だけお話します。

 先週、分枝鎖アミノ酸(BCAA)が、体を作る成分として使われないともったいないので、少量の糖質を同時に摂取することをお話しました。そうすれば糖質が燃えてエネルギーになり、アミノ酸は体を形成する材料になります。

 市民ランナーのHさんからメールを頂きました。ありがとうございます。

 ランナーとしては、消化の重いたんぱく質摂取は走る前よりも後の方がよりよいのだそうです。ナルホド。

 しかしアミノ酸ではエネルギーが十分でないと感じられるそうです。アミノ酸は体の形態と機能の維持のために摂取しているので、エネルギーが別に糖質を摂取したほうがよいことをお話しました。

 あと余談ですが、走っているときにおなかが痛くなるのは、もしかするとグルタミン不足によるものかもしれません。

 グルタミンは腸のエネルギー源です。日ごろのたんぱく質不足があると、グルタミンなどがあってもみな燃やされてしまい、おなかがエネルギー切れになり痛くなるのではないかと思います。

 今度、グルタミンを摂取してからランニングとかしてみようかな。

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2011年09月04日

たんぱく質摂取不足から生じる影響について3

 先々週からたんぱく質の摂取不足の影響について考えています。

 1週目はアルブミンが不足して浮腫や腹水の原因になったり、乾燥肌、咽頭痛の原因にもなること、慢性炎症、肝臓病などでアブルミンは消費されてしまうことを書きました。

 2週目は胃腸の吸収が悪いときには、たんぱく質でなくアミノ酸の形で摂取していくのがよいこと、状態に応じて、分枝鎖アミノ酸、グルタミンを使うとよいことをお話しましたね。

 説明を忘れていましたが、アルブミンは血液中のさまざまな物質を運ぶ役割があります。薬もアルブミンが種々の臓器に配りますので、アルブミンが不足してしまうと、様々な問題が出てしまうことは想像に難くないでしょう。

 ところが、例えば分枝鎖アミノ酸がいくら吸収しやすいからと言っても、食事のときに全く糖質を摂取しないとどうなるでしょう?・・・

 分枝鎖アミノ酸が、体を作る成分として使われず(もったいない!!)、エネルギー源として使われてしまうことになります。せっかく体を頑丈にしようとして摂取しても、全て燃えてしまうとは何とも悲しいことです。食事のときには少量でも良いので一緒に糖質を摂取することをお勧めします。

 あと、

 食後血糖を下げたい方!私もその一人なのですが・・・。

 細胞内に糖が取り込まれることで血糖が下がるのですが、インスリン以外にもこの血糖取り込みを行うための重要な物質が存在します。その物質はGLUT4と呼ばれています。
 
 GLUT4は通常細胞の中に隠れていて、血糖取り込もうとしません。

 (問題)ではどういうときに、GLUT4から血糖が細胞内に糖を取り込もうとするのでしょうか?

 (答え)運動負荷がかかったときです。

 運動の重要性がここでも示されています。

 しかもこの働きが作動するにはロイシンという必須アミノ酸が必要ですので、たんぱく質摂取が血糖維持にも関係しているということになります。

 たんぱく質についてはこんなところでしょう。

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2011年08月27日

たんぱく質摂取不足から生じる影響について2

 先週はたんぱく質の摂取不足の影響について考えてみました。

 アルブミンが不足して浮腫や腹水の原因になったり、乾燥肌、咽頭痛の原因にもなることをお話しました。また、慢性炎症、肝臓病などでアブルミンが消費されてしまうことにも注意を払う必要があります。

 いつも気まぐれなこのコラムですが、もう少したんぱく質のことを書こうと思います。

 栄養療法をしていて、いつも壁に突き当たるのは、摂取したサプリメントが十分に吸収されないことです。

 胃にピロリ菌がいるときには、まずその治療をするわけですが、元々吸収力が弱いひともいらっしゃるわけで、そういう場合には投与方法に少し工夫が必要になります。病状によるたんぱく関連製剤の使用方法も考える必要があります。

 ちなみに下記は『がんになったら肉を食べなさい』を参考にしています。

 たんぱく質が単純に吸収されないので補充したい場合には、必須アミノ酸を中心に補充していくことになります。必須アミノ酸とは、体内では合成できないアミノ酸で、筋肉、血液、骨などの合成に欠かせないアミノ酸のことです。たんぱく質よりもアミノ酸の方が分子が小さいので吸収しやすいのです。

 浮腫や腹水を抑えたり、慢性炎症などでアルブミンの消費に対応したい場合、特に肝蔵病があるときには分枝鎖アミノ酸を中心に投与します。肝臓病では分枝鎖アミノ酸が特に低下して、肝性脳症という病気になりやすいためです。
 
 また、抗がん剤や放射線療法などのストレスにさらされる場合にはグルタミンを中心に投与します。グルタミンは腸管のエネルギー源になります。治療により食欲が落ちるのを防いでくれます。また、免疫に重要なリンパ球もグルタミンが必要なのだそうです。

 たんぱく質やアミノ酸を工夫して使用することが重要なことが分かりますね。

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2011年08月19日

たんぱく質摂取不足から生じる影響について

 たんぱく質の摂取不足の影響について考えてみましょう。

 アルブミンが最も多い血液中のたんぱく質ですので、アルブミンの働きを考えて、不足時に何が生じるかを考えることが大切であろうと思います。

 アルブミンは血液中で水分をひきつける働きを持っています。

 血管の中で水をひきつけて何になるのか?と感じる方も多いと思います。

 実は血管はアルブミンがないと水が漏れ出てしまうほど、目の粗い管なのです。アルブミンは血管の外に出るほどには大きな分子ではありませんので、アルブミンが水をひきつけて、血管外に水が出ないようにしているのです。

 従って、アルブミンが低下してしまうと水が少しずつ血管外に漏れ出て、むくみの原因になります。

 癌末期の患者さんで栄養状態が悪くなりアルブミンが低下してしまい、これが原因で腹水が溜まってしまうのも同じ理由で生じてきます。

 次に皮膚の表面に目を向けてみますと、水分は皮膚の表面から定期的に出て行ってしまいます。ですので、皮膚表面で水をひきつける作用のあるたんぱく質が必要になります。

 従ってたんぱく質不足により乾燥肌になることがありますし、粘膜で乾燥が生じれば、炎症が起きやすくなったり、喉が痛くなったりするわけです。

 アルブミン不足は急性炎症、癌や慢性炎症などの消耗性疾患、肝蔵の病気で起こりやすくなります。あと大切なのはストレスでもアルブミンは消費されてしまいますので注意が必要です。

 気が向いたら(笑)来週はこの続きを書きます。

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2011年08月13日

歯周病にまつわる病気について

糖尿病と歯周病、あまり関連がないように感じられるかもしれません。

 しかし現実には、歯周病を治療することにより血糖のコントロールが良くなる例が少なからずあるそうです。

 理由はよく説明できないのですが、そういう現実が存在するということが、大変大きな事だと思います。

 歯周病は心臓疾患とも関連しているようです。

 よく考えてみると、胃潰瘍もピロリ菌が原因だったわけだし、潜在感染症の宝庫?である歯周病が、いろんな病気の原因になってもおかしくないように感じられます。

 歯周病は様々な菌やウイルス、カビから寄生虫の類まで、いろんなものが繁殖の機会をうかがっているような病気です。炎症自体が弱いため、症状から感染を見つけることは相当困難でしょう。

 炎症反応も通常のCRPという検査値ではあまり明確に炎症を指摘できませんが、昨今は高濃度CRPという検査項目があるそうで、これで歯周病がチェックができるようです。

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2011年07月23日

なぜ体温が高い方が体に良いのか?

 ミトコンドリアの専門家である太田成男先生の著書を別ブログで紹介していますが、今日は安保徹先生のご講演を拝聴してきたので、そこでのミトコンドリアのお話を書いてみたいと思います。

 体がエネルギーを得る系は主に2つで、解糖系とTCAサイクルというものがあります。無酸素状態では前者が、有酸素状態では後者が働きます。ミトコンドリアは後者に関わります。

 ミトコンドリアが少ない細胞は無酸素状態でも分裂し、分裂に最適な温度も体温よりも5度程度低いのです。骨髄、消化管、皮膚、精子がこれにあたります。生命現象に直結する細胞が多いですね。

 ミトコンドリアが多い細胞は有酸素状態にあり、分裂はあまりせず、高度に分化した細胞が多くみられます。心筋細胞、脳細胞などがこれに該当します。人間はこれらの細胞が効率よくエネルギーを生み出せるので、細胞が種々に分化して高度な機能を獲得しています。

 ここからが「体温を上げると・・」の安保先生らしいお話なのですが・・。

 体温がもしも低くなってしまったらミトコンドリアが働けません。そこで、細胞は普段はあまり重要視していなかった解糖系で何とかしようとします。

 しかしエネルギー効率が悪いので、長期間になってきますと、高度に分化した細胞群(私たちのことです)を維持することができなくなります。見た目にはやつれてきます。

 実は癌細胞はミトコンドリアが少ない細胞なので、体温が低くなると増殖しやすくなります。逆に体温を上げると、体の各部位の高度な機能(恐らく免疫細胞も含まれるのだと思いますが)も活発になり、癌細胞自体も増殖しにくくなります。

 体温が低い状態で働き続けるのは良くありません。リラックスして体温を上げて、ミトコンドリアを働かせることが、癌予防をはじめとした何よりの体調管理になるのです。

 安保節全開の45分のご講演でした。

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2011年06月25日

常習便秘への対応

 排便は老廃物を体外に出すという重要な働きがあります。有害重金属や化学汚染物質はほとんど便と汗から出て行くため、便が出ないことで様々な問題が生じてきます。

 肌荒れが生じやすいですが、これは便からでない老廃物を無理やり皮膚から出すために生じる現象です。

 また、便が体のエネルギーを下向きに流す働きがあるので、便秘が常習化するとのぼせる傾向が強くなり、首から上に熱い感じや痒みが出ます。

 便秘の方たちは、水をたくさん飲んだり、繊維質のものをたくさん食べたり、ヨーグルトのようなものを常用していますよね?でも止めてしまうと元に戻ります。つまり根本的な治療にはなっていないのでしょう。

 では漢方薬が良いのか?というと、これも対症的になっているように思えます。止めれば便秘に逆戻りする場面に数多く遭遇します。一応、使用することの多い漢方薬を挙げているサイトがありますが、根本的解決には今ひとつの印象です。
 
 では、なぜ便秘が続いてしまうのでしょうか?

 ビタミンCが足りないのかもしれませんね。小腸で吸収しきれない量のビタミンCがあると、大腸で腸内をを酸性に保ち大腸菌の繁殖を抑えるのだそうです。ビタミンCはストレスやアルコール摂取などで消費されてしまいます。

 あとは、発酵食品の摂取が足りないことも考えておく必要があります。私が子どもの頃はいつも周りに発酵食品があったように思いますが、今は食卓に乗ることが少なくなりました。

 便秘によい経穴(つぼ)を探してみました。腸を動かすエネルギーを身体が取り込めないから便秘が続く、ということもあるのかもしれません。
 

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2011年06月19日

子供の繰り返す湿疹を見て考える

 繰り返しているのを見ているのは、わが子の湿疹です(笑)。

 我が家はみんな私が食べ物のコントロールをしていますので、恐らくかなり体がクリーンになっていて、逆に変なものを食べるとすぐに体が痒くなるようになっています。便利というか、不便というか・・(私は便利と思いますが)。

 下の娘の皮膚に繰り返し痒みがでて、何度も何を食べたのか問い詰めました(笑)。ずっと分からなかったのですが、とうとう原因を突き止めました。冷蔵庫に果汁入りの氷菓子があったのです。手にとってみると、明らかに体に悪い感触です。

 以前に子供の患者さんでも同じようなことがあって、いろいろ話をしているうちに、杏がゲル状になって固まっている菓子が冷蔵庫にあって、それをよく食べているということを聞いていました。

 鼻水が繰り返し出るのはそのためではないかと話し、サンプルをいただけないかとお願いしました。

 実はその患者さん、その後その菓子を食べなくなったら鼻水が全然でなくなったとのことで、数ヶ月通院がありませんでした。

 先日その患者さんがいらっしゃったときにサンプルを2種類いただきました。やはり我が家の氷菓子と同じ感触がありました。

 生活の中で、何でもないと思っていることに足をすくわれて病院に通院を余儀なくされている人は少なくないのでしょう。毎日習慣的に摂取しているものは少し見直したり、定期的に内容を変えたりして、リスクを分散させることを考える必要があるかもしれません。

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2011年05月22日

運動による体質改善で花粉症に対応している人のお話

 読者の方で、自ら体質改善に取り組んで花粉症に対応しようという方がいらっしゃいます。その方から体質改善レシピを頂いたのでご紹介します。

 > 体質改善の取り組みはランニング 150km/月(3~4回/週)、ウォー
 > キング 100km/月(朝夕×5日/週)で練習暦3年です。

 これはなかなかハードだなと感じます。ちょっと普通の人には難しい量ですが、運動の重要性は分かります。

 > 今年の花粉症はシーズン開始時、強い症状が出ましたが、1週間程度で
 > 落ち着きました。3月は弱い症状のみ。目薬のみ必要です。4月は症状
 > はますます軽く、目症状以外はほとんど出ません。

 運動の効果の凄さを感じますね。

 > 今シーズを終えて、ある程度花粉症を発症させておく方が、体が早く適
 > 応すると感じます。しばらく我慢すると、1週間程度で急激に症状が軽
 > くなることに気づきました。「身体には、花粉症の発症に対して、自然
 > に症状を和らげる方向に状態を変える能力が有る」と実感しています。

 これは運動したからなのか、誰でもなることなのか、その判断が難しいです。運動により適応能力が上がったということも考えられますね。しかし花粉の時期に外で運動するのは難しいのではないかと思ったのですが・・

 > 小量の花粉を継続的に体に取り込むと、体が慣れて症状が軽くなります。
 > 有酸素運動を併用すると、早く慣れます。マスク着用で40分以上のウォー
 > を行うのが最も効果的です。

 > 弱い運動で体が温まると、体の花粉センサーがOFFになり、症状が弱ま
 > ります。ウォーキングを朝夕行えば、ほぼ一日思い症状は出ません。こ
 > うして少量の花粉を体に取り込んで、徐々に慣らしてゆくのです。個人
 > 差はありますが、一週間程度でランニングができるようになります。

 この読者さんによると、この適応力は体質改善と薬をやめたことによるのではないか、とのことです。非常に具体的ですし、運動の好きな人には朗報となる情報ではないでしょうか?

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2011年05月15日

【栄養療法】双極性障害と思われる方にナイアシンを使ってみました

  
 患者さんの中に、メンタルな問題を抱えている人が少なくありません。私は耳鼻科医ですので、あまりそういう患者さんへの対処が十分とは言えませんが、栄養療法で多少なりとも改善させることができれば、と考えています。

 先日、過労由来と思われる軽い双極性障害と思われる患者さんがやってきました。

 このメンタルな問題に対し、私はナイアシンとヘム鉄が候補に挙げました。

 ナイアシンは過労状態でメンタルな調整力を失っている人で、血液検査上はLDHが下がっている人に有効だと考えられます。まだ血液検査を確認していませんが、明らかにナイアシンの適応があると考えました。

 ヘム鉄は代謝を回すためのキーミネラルです。よってヘム鉄を使いたい場面はエネルギーが不足傾向であり、物質の滞りのためと思われますが、体に痛みが生じやすい印象があります。今回はナイアシンほどの緊急性は感じられないため、投与は見送りました。

 両者のもつエネルギーからも検証して、ナイアシンのみの投与にしましたが、今後、どのようになっていくのかを見守りたいです。

 それにしても過労は健康に影響が大きいですね。先日は東京電力の関係者に漢方薬で対処しましたが、補剤(体を補う処方)ばかりが必要になりました。胃腸を守り、血分を補うという感じです。大変なのだなと思います。

 震災で職を失った人がいる一方で、やたら仕事やストレスが増えている人も少なくないので、そういう方たちのバックアップを少しでもできればと考えています。

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2011年04月10日