【栄養療法】たんぱく質の重要性2
先週、たんぱく質は酵素やホルモン、免疫物質など機能的側面でも、筋肉や皮膚など構造的側面でも重要であることをお話しました。
たんぱく質の不足は必ず補われなければなりませんので、不足したときには自分の体を崩して機能を守ることになります。こうなる前に手を打ちたいですよね?
ではそもそも、どのくらいたんぱく質が足りているか、その指標はどこにあるのでしょうか?
もちろん総タンパク値は分かりやすいですね。でも簡単な健康診断では測定しないことも少なくないのです。
アルブミンは、たんぱく質の種類の一つで、総タンパク量とだいたい相関があると考えてよいと思います。これは比較的測定されることが多いです。値としては4.5g/dlが目標になるでしょう。
あとは酵素やホルモンなど、たんぱく質由来のアミノ酸が原料になって作られる物質がきちんと作られているかをチェックしましょう。
たんぱく量を反映しやすい値はLDH(乳酸脱水素酵素)やCHE(コリンエステラーゼ)という値です。基準値とされている値の範囲内でも、かなり下限が近いようでしたらタンパク不足である可能性があり要注意です。しかしこれらの値も測定されないことがあります。
そこで、大抵測定されるGOT(AST)、GPT(ALT)の値が15IU/Lを割るようでしたらタンパク不足を疑ってかかる必要があるでしょう。基準値として堂々と10~30IU/lなどと書いてありますが、適正な値は20と考えて下さい。
来週もたんぱく質のことをお送りしますね。
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2010年05月22日
【栄養療法】たんぱく質の重要性1
今日はたんぱく質の重要性に触れたいと思います。
特に高齢者で多いと思いますが、コレステロールが高いと言われ、あっさりとした食べ物ばかりを食べていると言う人がかなりいらっしゃる印象です。
コレステロールは通常、年齢を経るごとに高くなる傾向がありますが、どういう意味があって高くなっていくのか、聞いたことがありません。どこに行っても、高値だと危険だから下げましょう、ということを皆が言います。
しかしこれは本当に良いことなのかな?と思う事があります。
食べ物は麺類だったり、お茶漬けだったりですが、これで健康は守れるのでしょうか?
人間の体はたんぱく質からできています。
機能面でもたんぱく質は大きな働きをしています。酵素もたんぱく質ですし、ホルモンもたんぱく質からできているものもあります。筋肉も免疫物質も血液中の物質運搬物質も細胞膜受容体も、全てたんぱく質なのです。
このようにたんぱく質の働きは実に多彩です。不足することが様々な病気の原因になる可能性があることがご理解いただけるでしょう。
もし必要なたんぱく質摂取が不足した場合にはどうなるのでしょうか?
体は自分の体を壊しながら、多種多様な機能を守っていくことになります。私たちの体には一定量のたんぱく質摂取が不可なのです。
タンパク質の重要性2に続きます。
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2010年05月16日
【栄養療法】(Break)栄養療法のこんなところが良いかな?
今日はちょっと一休み。
栄養療法をやってこんなところが良かったな、と感じられることがあったのでお話してみます。
娘の指に赤い丘疹ができました。波動検査で診断するとカビの感染と化学物質汚染による発疹のようです。
えええーっ?!!栄養療法で免疫万全のはずなのに~・・
と思ったのですが、よく考えると、皮膚病とは体内の不要物質を体外に出す働きとも考えられます。従来、排泄されなかったものが、不十分とはいえ、皮膚から出そうとしているのかな?と考えなおしました。
赤ちゃんはすぐに発疹ができますが、最初は全ての異物に対して反応してしまいますので発疹ができやすいのです。
私たち大人は多少の異物であれば「まぁいっか」ということで、体が反応しないようになってきます。生活しやすくなりますが、汚染の処理がしにくくなります。これは病気の原因にもなることでしょう。
どうも栄養療法をすると、異物に対する排泄機転が高まる感じがします。娘のように皮膚から排泄するということもあるでしょうし、私自身は排便の回数が明らかに増えた感じがしています。
2010年05月09日
【栄養療法】ビタミンEについて
今週はビタミンEについてお話します。
ビタミンEにはトコフェロールとトコトリエノールの二つの形があります。大まかに言うと、トコトリエノールは即効性、トコトリエノールは持続性の効果が期待できます。よって同時摂取が大切であることが分かります。
抗酸化作用を持っているのビタミンですが、脂溶性ビタミンなので細胞膜の酸化を除くことができます。抗酸化活性はトコトリエノールの方が強いです。よって癌に対して効果を発揮するのはトコトリエノールと言われており、肝がん、乳がん、前立腺がん、皮膚がんで細胞増殖抑制が報告されています。
また、γトコトリエノールとγトコフェロールが十分にあると、過剰なナトリウムや水分の排泄が促進するので、むくみの防止に役立ちます。
皮膚のしみやしわは酸化が原因と言われています。γトコトリエノールが抗酸化作用を発揮したり、メラニン産生を抑制するため、美白効果やしわの改善にも役立ちます。
細胞は人体の基本骨格ですから、細胞膜の酸化を防ぐビタミンEは良いことが多いですね。ホルモンバランスや血行にも良い働きがあるようです。
以前に触れましたが、私は凄く細胞膜の酸化が進んでいて、赤血球が溶血してしまい、赤血球の寿命が短くなっていました。検査では間接ビリルビンの上昇と網赤血球の上昇が見られました。
何も症状がなく溶血が進んでいたなんて、本当に怖いと思いました。子どもでもこういう現象が生じます。うちの娘で確認しましたので。つかれ易いお子さんにビタミンE不足ということがあるかもしれません。
トコフェロールはコーン油、綿花油、ピーナッツ油、大豆油、小麦胚芽に、トコトリエノールは米、大麦、小麦、パーム油に多く含まれます。しかし、通常の食事では摂取しにくいものです。
ビタミンEは天然のd体のみが体内を移動できるようです。合成のdl体はすぐに排泄されてしまいますので要注意です。
2010年05月01日
【栄養療法】ビタミンAについて4~カロテノイド
先週までビタミンAの摂取はレチノールであれば危険とは言えず過剰症の可能性は少ないこと。働きとしては、上皮と粘膜の維持、視覚の維持、抗腫瘍効果ついてお話しましました。
今週はカロテノイドなどについてお話します(Wikipediaを参照しています)。
カロテノイドと言えば、βカロテンが有名です。必要時には2分子に分かれ、ビタミンAになるので、βカロテンはプロビタミンAと呼ばれます。ニンジン、カボチャ、小松菜、紫蘇、ほうれん草などに多く含まれます。
βカロテンの仲間としてはリコペンが挙げられます。リコペンはβカロテンよりも抗酸化作用が強いこと、種々のがんや胃潰瘍などにも効果が確認されています。トマト、スイカ、柿などに含まれています。
炭素と水素だけでできているカルテノイドをカロテン類(βカロテンとリコペン)、その他のものを含んでいるものをキサントフィル類と呼びます。キサントフィル類の代表はルテインです。ルテインは必要に応じゼアキサンチンという成分に変わります。
ルテインは水晶体や網膜(特に黄斑部)、乳房などに多く存在します。網膜を酸化から守る働きが特に注目されていて、ルテインの減少は白内障、加齢性黄斑変性症の原因になるとも言われています。
加齢性黄斑変性症は先進国の失明原因の第一位だそうです。光由来の活性酸素が多くなっているからではないかと言われています。
ルテインが多く含まれるのは、ほうれん草、ブロッコリー、キャベツ、豆類、卵黄であり、ゼアキサンチンが多く含まれるのは卵黄、とうもろこしの種だそうです。
他にも鮭、いくら、かに、海老に含まれるアスタキサンチン、温州みかんに含まれるクリプトキサンチンなどのキサントフィル類が注目されています。
来週はビタミンEについてお話します。
2010年04月24日
【栄養療法】ビタミンAについて3
先週までビタミンAの摂取はレチノールであれば危険とは言えず過剰症の可能性は少ないこと。働きとしては、上皮と粘膜の維持、視覚の維持があることをお話しました。
さて、今週はビタミンAの抗腫瘍効果ついてお話します。
がん細胞は細胞分裂が無制限に生じてしまうために、体の調和を乱してしまう病気と言えます。
また、がん細胞は常に少しずつ体の中に生じていますが、免疫によって排除されているのです。
ビタミンAはがん細胞の異常な細胞分裂を正常化させる働きがあり、さらに、そのように異常を来たした細胞を死に追い込むことで生体の調和を維持する働きがあるのです。
がんに対して何らかの有効性が認められているものを挙げてみます。
急性前骨髄性白血病、皮膚がん、乳がん、肝がん
また、前がん状態にも有効とされています。紫外線角化症、色素性乾皮症などです。
ではそのようなビタミンAが十分に足りているのかどうか、これを血液検査で知るための指標は何か?ということになります。
ビタミンAは細胞核内で働き、核酸代謝に大きく関わっています。ビタミンAが存在することで核酸の代謝が正常に行われ、その結果として生じる尿酸はビタミンAが存在している一つの指標になります。
尿酸は痛風の原因であり、少なければより良いと考えられがちですが、値としては5mg/dl前後が良いようです。3.5mg/dlくらいになってきますと、ビタミンAが体内で十分に働いていない可能性を考える必要があるようです。
来週はカロチノイドなどについてお話します。
2010年04月18日
【栄養療法】ビタミンAについて2
先週はビタミンAの摂取は危険ではないこと、特にレチノールを摂取していれば、レチナールとの間で酸化還元反応が生じたり、貯蔵型のレチニルエステルになることで、過剰症はかなり生じにくいであろうことをお話しました。
さて、今週はビタミンAの作用と欠乏症状についてお話します。
■上皮と粘膜の維持、生殖機能の維持
ビタミンAは遺伝子に深く関わり、細胞増殖や分化に大きく関与しています。特に上皮の形態維持をつかさどるので、ビタミンAが不足すると正常の角化が起こらず、アトピーやにきび、イボやウオノメができやすくなります。
ビタミンAの不足により粘膜上皮の機能が低下すると、眼球乾燥症、感染防御力の低下(つまり風邪をひきやすくなる)、腸の吸収能力の低下、生殖機能(精子や胎盤の形成)の低下などが生じてきます。
ちなみに精子の形成には、先日お話した亜鉛とビタミンAが必要なのであり、気道防御に重要な気道粘液形成のためには、ビタミンAとグルタミンが重要です。花粉症対策でもビタミンAは活躍しそうです。
■視覚作用
ビタミンAはロドプシンという網膜の暗順応(暗い所で光に敏感になる働き)に重要な物質の材料になります。ビタミンAが少ないと暗順応低下により生じる夜盲症や眼精疲労を生じます。
参考までに、視力に関して重要な他の物質としては、ロドプシンの材料になるたんぱく質、ビタミンAの血中濃度を上げる亜鉛、ロドプシンを再合成するアントシアサイド(ビルベリーに多く含まれる)が挙げられます。
後進国のビタミンA不足は深刻なだそうで、眼球乾燥症と妊娠夜盲症が問題なのだそうです。
来週も続きます。
2010年04月11日
【栄養療法】ビタミンAについて1
冒頭にも述べましたが、ビタミンBとCは水溶性なので、過剰な分は体外に排出されて問題なく、ビタミンAとEは脂溶性は過剰摂取が問題であるとされています。
そうかもしれません(笑)。
でも、肝臓の中には星細胞と呼ばれる細胞があり、ビタミンAの血液中の濃度をコントロールしているそうです。
だからレバーとかうなぎ、ニンジンを食べ過ぎて異常が出た、という人がいないのかもしれません。
ビタミンAには、レチノール、レチナール、レチノイン酸という3つの形があります。レチノールとレチナールには相互に量の調節が行われます。しかし、レチナールからレチノイン酸になると、元には戻りません。
ですから、合成されたレチノイン酸を投与することは安全とは言えず、妊娠時のトラブルも報告されているようです。
一方、魚油に含まれているビタミンAはレチノールであり、レチノールが細胞内で貯蔵されるときにはレチニルエステルになります。この貯蔵型には生理活性はないため、たくさん貯蔵されても危険はないように思えます。(wikipediaの「ビタミンA」の項目も参照しました)
私に栄養を教えてくれる定先生も妊娠時にビタミンAは大切と話しておられました。
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2010年04月04日
【栄養療法】カルシウムについて3
先週はカルシウムイオン濃度のコントロールとか、カルシウムパラドックスなど、難しい内容でしたね。
今日はカルシウムの関連する病気、そしてカルシウム摂取に有効な食材をご紹介していきたいと思います。
カルシウムで思い起こされるのは骨そしょう症だと思います。カルシウ摂取不足はもちろんですが、運動不足による骨負荷の減少、日光暴露時間減少によるビタミンD活性化不足、ストレスや喫煙やアルコールも原因になるようですね。
高血圧にカルシウム摂取が良いということはご存知でしょうか?
カルシウムとマグネシウムを十分に摂取すると、副甲状腺ホルモンの値が下がり、カルシウムイオンが細胞内に入りにくくなります。血管平滑筋細胞内のカルシウムイオン濃度が下がり、血管の収縮が抑えられ、血圧が下がります。ナトリウムイオンがカルシウムイオンの代わりに尿中に排泄されるので、これも血圧が下がる要因になります。
以前に書きましたが、糖尿病の患者さんはカルシウムが尿中にどんどん排泄されてしまいますので、カルシウムの摂取は重要です。糖尿病食になると、さらにカルシウム摂取が減少する可能性がありますので注意が必要です。
リウマチ患者さんは、骨病変により副甲状腺ホルモンが過剰になっている可能性があり、骨吸収(骨が溶けだす)が亢進する可能性があり、カルシウム摂取は不可欠と言えます。
癌性疼痛も同様かもしれませんね。骨に転移があり痛みが出る場合などは、カルシウム投与が有効であると考える人もあるようです。
カルシウム摂取に重要な野菜はキャベツ、人参、セロリ、鞘いんげん、わさび、玉ねぎ、パセリ、ホウレンソウ。果物はラズベリー、キウイ、イチジク。その他にアーモンド、豆腐、ごま、海藻、干しエビ、煮干し。
同時にヒジキ、ナッツ類、大豆などからマグネシウムを摂取しましょう。
2010年03月28日
【栄養療法】カルシウムについて2
血液中のカルシウムイオン濃度は厳格にコントロールされています。
カルシウムイオン濃度を調節するホルモンは、副甲状腺ホルモン(骨吸収促進と腎カルシウム再吸収促進)、活性タミンD3(腸管カルシウム吸収促進)、カルシトニン(腎カルシウム排泄促進)で、調節臓器は、骨、腎、腸管です。
血中カルシウムイオン濃度が下がると副甲状腺ホルモン分泌とビタミンD3活性化が促進され、カルシトニンが抑制されます。濃度が上がると逆の反応が起こります。
血中カルシウムイオン濃度が減少すると、副甲状腺ホルモンの働きにより、骨からカルシウムイオンが供給されますが、各細胞内にカルシウムを取りこむ働きも促進してしまいます(カルシウムパラドックス)。
どういう意味があるかというと、結石ができてしまったときに、カルシウム摂取を抑えようと思うかもしれませんが、抑えるとさらにカルシウムが細胞内に取り込まれてしまい、結石ができやすくなることを意味しています。
カルシウムイオンは細胞にとっては毒なので、カルシウムイオンが細胞内にどんどん入るのは良くないことです。カルシウムがしっかり摂取されていることで、細胞内カルシウムイオン濃度を低濃度に維持することができます。
細胞内へのカルシウムイオンの流入は、癌の原因になったり、細胞死の原因になりますが、その原因になるのは細胞膜の傷害であることが多いようです。膜の抗酸化作用を持つビタミンEの作用が重要になってきます。
少し理屈っぽいですが、来週も続けてみます。
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2010年03月21日