血圧を下げるべきか否か?3 ~今日は訂正のみ
ストレスで血圧が上がること、糖尿病の人は睡眠時も血圧が下がらないなどのことがあること、運動と減量によりインスリンが働きやすくなり血圧も下がりやすくなることをお話してきました。
前回の記載で、
「糖尿病の方はインスリンの値が高くなっています」
と書いてしまいましたが、これは誤りでした。訂正しますね。
糖尿病の方にはインスリンに体が反応しなくなり、もっとインスリンを分泌するように体が変化してしまう場合と、インスリン自体が分泌不全を起こし ている場合の2通りを考える必要がありました。
先週の記載は前者のことだけを述べていますので、明らかに誤りです。
お詫びして訂正します。
再来週に続きます(来週はお休みをいただきます)。
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2011年12月25日
血圧を下げるべきか否か?2
先週、ストレスだけでも血圧が上がること、糖尿病の人は睡眠時も血圧が下がらないなどのことがあるので、寝ている間の血圧も測ったほうがよいことをお話しました。
糖尿病の方は腎障害や神経障害を生じないように、血圧を管理することが必要になります。高血糖もトラブルですが、血圧が上がりやすくなるために、これらの障害が生じやすくなります。
糖尿病の方はインスリンの値が高くなっています。インスリンの作用により腎臓では捨てるはずのナトリウムの再吸収が起こり、循環血漿量が多くなり、血圧は上がりやすくなります。
こういう方の場合にはカリウム、カルシウム、マグネシウムなどを摂取することで、ナトリウム代謝が正常になっていきます。
また細胞内カルシウムが増加するため、血管が収縮して血圧が上がるという面があります。
逆に考えると、高血圧があるといっても、血圧を直接下げることばかりを考えるのではなく、インスリンが働きやすい状態にすることで、インスリン値が高値になることが抑えられ、高血圧にもならないようにできるということです。
では、インスリンが働きやすくなるために一番効果があるのは何でしょうか?
それは恐らく運動、そして減量でしょうね。
来週に続きます。
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2011年12月18日
血圧をどう下げるべきか?
高血圧症の人はとても多いと思います。以前からとても気になっていることなのですが、みんな血圧を下げる薬で対応していますが、本当にこれで良いのでしょうか?
第一にストレスにより血圧が上がっている人が少なくないと考えられることです。ストレスは体に持続的な緊張をもたらしてしまうので、これだけでかなり血圧が上がります。
こういう方は中医学的に拝見すると肝の伸びやかさが傷害されて、過剰に肝が働いている状態です。肝を抑制する作用、または肝のエネルギーを捨てる働きのある漢方薬を使います。
最近、気をつけないといけないと考えるのは、薬だけ処方して生活指導を怠ると、薬で体が楽になるので、さらに仕事やストレスを抱え込む人がでてきます。薬を使いながらストレスを手放していくということが大切です。
さて話が変わりますが、血圧が朝から高いという人もいるのですね。通常では夜間睡眠時は血圧が下がります。しかしこれが下がらないのです。これは糖尿病の人に多いのだそうです。
こういう事例を聞くと、血圧が寝ている間にどうなっているのかを見ておく必要を感じます。逆に寝ている間に血圧が下がり過ぎてトラブルになる場合もあるのだそうです。また、中には明け方に急に血圧があがる「モーニングサージ」というタイプの人もいるそうです。要注意ですね。
時刻による薬剤の効果について書かれているサイトも参考になりますよ。
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2011年12月10日
コレステロールは下げた方が良いの?最終回
先々週から薬物による高脂血症治療についてお話ししています。スタチン系薬剤、プロブコールについてご説明してきました。また、サプリメントではナイアシンが期待できることもお話しました。
いろいろ考えてきましたが、そろそろ考えをまとめていこうと思います。まず、コレステロールを考える上で重要と思われることを挙げてみましょう。思いつくままですので、重要なことが抜けませんように!
・LDLとHDLがどういう値になっているのか
・高過ぎは心血管病のリスクになる一方、低過ぎるのも問題
・コレステロールが酸化されることは防ぎたい
ビタミンCだけでなく、ビタミンEも重要
・脂質は、糖質制限をしないと燃焼に影響することがある
・EPAとDHAの摂取は有効性が高いように感じられる
・スタチン系薬剤を使うならCoQ10を補給したい
こんなところでしょうか。
特にコレステロールは酸化されなければ、低い値よりはむしろ高い値の方が良いようにも感じられました。このあたりは専門家の意見を聞かねばなりませんが。
一応、今回でこのシリーズは終りにしようと思います。
来週以後何にしようかな・・?
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2011年12月03日
コレステロールは下げた方が良いの?12
先週から薬物による高脂血症治療についてお話ししています。先週はスタチン系薬剤の話をしました。CoQ10が論理的には不足するはずですので、サプリメントで補うことを検討してみましょう。
さて、今週はスタチン系以外の薬物治療について考えてみましょう。
プロブコールという薬もよく使われているそうです。Wikipediaによると、詳細な作用機序は不明ですが、HDLの異化をすることでコレステロール逆転送回路を活性化させると書かれています。
HDLは低下しない方が良いと今まで勉強してきたので、HDLを分解することで組織の余分なコレステロールが本当に回収されるのか、少し心配になります。
臨床的にはプロブコールで動脈硬化が縮小したという報告と、あまり効果がなかったという報告の両方があるようです。今後の研究結果待ちということでしょう。
サプリメントではナイアシンがLDLを下げることで高脂血症に効果があるとされています。ナイアシンはコレステロールだけでなく、中性脂肪も下げる効果があります。安全性も高く、もっと広まって良さそうですが、日本では保険適応がないそうです(何で?)
さらに来週に続きます。
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2011年11月26日
コレステロールは下げた方が良いの?11
これまでさまざまな観点から動脈硬化因子を抑えることについてお話してきました。先週は中性脂肪が高い人は糖質の制限から、カイロミクロンが高い人は脂質の制限から行うこと、LDLが高い人は、EPAやDHAを摂取すること、EPAを摂取しながら生活改善を進めていくことをお話しました。
今週は薬物による高脂血症治療についてお話します。
コレステロール降下剤として最も広く用いられているのは、HMG-CoA還元酵素阻害剤、いわゆるスタチン系薬剤と言われるものです。
この薬を飲むと、体内でメバロン酸という物質が作りにくくなります。メバロン酸からはコレステロールが作られますので、当然コレステロール値は下がります。ところが、CoQ10もメバロン酸から作られますので、これも作られなくなります。これは副作用と考えてよいでしょうね。
CoQ10はとくに心筋細胞の活性化に必要な物質ですので、スタチン系の薬剤を使用するときにはCoQ10を補う必要があるとも言われています。
ここからは私の想像ですが、CoQ10は様々な抗酸化物質とともに抗酸化作用を発揮する物質なので、CoQ10が減少することで例えばビタミンC、ビタミンE、αリポ酸などの抗酸化物質が正常に機能しなくなる可能性があると思います。
このサイトには副作用として末梢神経炎のみが記載されていますが、仮に体内の抗酸化物質が正常に機能しないならば、副作用は全身に及ぶと思われます。耳鼻科では動物実験レベルですが、CoQ10により高齢者の難聴が防げるのではないか、という報告もありますし、加齢性の変化も心配です。
もちろん急に副作用が生じるわけではないと思いますので、対応をしっかり考えれば問題はないと思います。スタチン系の薬剤を服用しているならば、CoQ10のサプリメントの服用を考えてみても良いでしょう。
他の副作用としては骨格筋変性による筋肉痛、筋力低下がありますが、これも決して軽い副作用ではありませんので、定期的に検査を受けるべきだと思いますし、患者さんは薬が原因と考えにくい症状ですので注意が必要です。
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2011年11月20日
コレステロールは下げた方が良いの?10
これまで腸肝循環、動脈硬化因子をEPA摂取で減らすお話、糖尿病の人では心筋梗塞のリスク要因であるIDLが増加しやすいこと、糖質制限をしてビタミンB、Cを摂取することでβ酸化の観点からも動脈硬化因子を抑えることができることをお話しました。
先週は善玉と言われるHDLのことをお話ししました。ビタミンC、ビタミンEの摂取、ウォーキング、減量(肥満者)でHDLを増やせるそうです。
さて、今週は高脂血症の治療に関する話題です。
最も重要なことは、動脈硬化とそれに伴う疾患の予防が治療の目的であり、そのためにまずは生活習慣から考える必要があります。
食事はまずカロリーと栄養配分が適正化されることが求められます。栄養配分とは、六大栄養素の割合を意識することだと思います。
それでも上手くいかない人に限り、食事を制限していく必要性が出てきます。中性脂肪が高い人は糖質の制限から、カイロミクロン(あまり測定されませんが)が高い人は脂質の制限から行います。
LDLが高い人は、EPAやDHAを摂取することで改善が望まれます。EPAが細胞膜に取り込まれていくことで、心筋梗塞など虚血性心疾患の予防効果が期待できます。
EPAは魚油に多く含まれており、細胞膜にどんどん取り込まれていきます。4~6週間で取り込みが最大になりますが、止めてしまうと2~3ヶ月で元に戻っていくそうです。ですので、EPAを摂取しながら食事内容や肥満、喫煙などの危険因子を排除しながら生活改善を進めていく必要があります。
また、DHAも魚を多食する日本人は多く摂取していると言われていますが、神経細胞の細胞膜にはとても多く含まれているので、神経の機能に大きな働きをしていると考えられます。魚油のようにEPAとDHAは同時に摂取すると有効性が高まるとされています。
さて、来週は高脂血症治療の続き(運動、薬物)です。
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2011年11月11日
コレステロールは下げた方が良いの?9
これまで腸肝循環、動脈硬化因子をEPA摂取で減らすお話、糖尿病の人では心筋梗塞のリスク要因であるIDLが増加しやすいこと、糖質制限をしてビタミンB、Cを摂取することでβ酸化の観点からも動脈硬化因子を抑えることができることも先週お話しました。
今週は善玉と言われるHDLに関することをお話します。
HDLは肝臓以外の組織からコレステロールを回収して肝臓に戻す働きを持っています。従ってHDLが少ないことが動脈硬化のリスクになるようです。この働きがあるために善玉コレステロールと呼ばれているようです。
酸化LDLの話をしましたが、酸化LDLはマクロファージに貪食されて血管内膜内に溜まり、プラークを形成してアテローム性動脈硬化の原因になります。HDLはLDLの酸化を抑制したり、酸化LDLを貪食するマクロファージの増殖を抑える作用がありますので、ぜひともHDLは増やしておきたいところです。
栄養のアプローチから考えると、ビタミンC、ビタミンEを摂取すること、ウォーキング、肥満の人は減量することでHDLを増やすことができます。また、ビタミンB群にもHDLを増やす働きがあります。
このときに注意しなくてはいけないのは、低HDLを肥満があるからと言ってムリな減量を行うと、タンパク質摂取不足から低HDLが改善しません。これは要注意だと思います。
さて、次週からようやく高脂血症の治療に関する話題をご提供していきます。
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2011年11月05日
コレステロールは下げた方が良いの?8
これまで腸肝循環、動脈硬化因子であるカイロミクロンレムナントをEPA(エイコサペンタエン酸)摂取で減らすお話、そして先週はLDLの代謝産物であるIDLが心筋梗塞のリスク要因であること、糖尿病の人ではIDLが増加しやすいことなどをお話しました。
さて、VLDLとLDLの観点から、動脈硬化を抑えるためにどのような栄養素を摂取するのが望ましいでしょうか?
まずVLDL高値を抑えることが重要ですが、そのためにはβ酸化の経路を正常な形で維持することが必要になります。
β酸化とは、脂肪酸を酸化してクエン酸回路に送り、エネルギーを取り出す経路のことです。この経路を維持するには、糖質摂取を制限する必要がでてきます。糖質を摂取していると、クエン酸回路が回り、それ以上に酸化脂肪酸でクエン酸回路を回す必要性がなくなるからです。
また、ビタミンCが不足すると、β酸化に障害がでるため、十分量のビタミンCを摂る必要があります。さらにβ酸化の過程でビタミンBが必要になるため、これも補給が必要でしょう。
カイロミクロンレムナントのところでも出てきましたが、β酸化とは無関係ですが、EPAを摂取することでVLDLの合成も抑制されるため、EPA摂取も重要になってきます。
LDLが酸化されることも動脈硬化の原因になります。それを防ぐために、ビタミンEやβカロチンといった油性ビタミンがLDLに十分含まれていることが重要で、またビタミンCやフラボノイドの十分な摂取によりLDLの酸化が抑えられます。
さて、次週は善玉と言われるHDLに関することを中心にお話する予定です。
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2011年10月29日
コレステロールは下げた方が良いの?7
これまで食餌性脂肪の一連の流れ、腸肝循環についてお話してきましたが、先週は動脈硬化因子であるカイロミクロンレムナントをEPA(エイコサペンタエン酸)摂取で減らすことができる、というお話でした。やや難しいですので、結果だけ覚えていけば良いと思いますよ。
さて今日は、中性脂肪やコレステロールを運搬するVLDL、LDLというリポ蛋白のお話です。
主にVLDLは中性脂肪を、LDLはコレステロールを運ぶリポ蛋白ですが、これらは肝臓で作られます。
VLDLは筋肉や脂肪組織で中性脂肪を失うと、IDLというものに変化します。これは大半がLDLに変化してコレステロールを肝臓以外の組織に運びます。IDLは一部、肝臓に直接取り込まれることになります。
食後高脂血症という病態がありますが、これが何故問題なのかというと、カイロミクロンレムナントやVLDLのレムナント(代謝産物というような意味ですね)と言えるIDLが増加することです。
IDLは本来すぐに血液中からなくなるべきものですが、食後高脂血症の人ではこれがなかなかなくならないために虚血性心疾患が生じやすいと言われています。
通常は食後すぐ血液検査をすることはないので、このレムナントリポ蛋白を見逃すことになりますが、動脈硬化のリスクを考えるならば、食後の採血でカイロミクロンレムナントやIDLを測定しておくのも一法と考えられます。
空腹時の中性脂肪高値の人は食後高脂血症になりやすいので要注意です。また、糖尿病の方が高脂質の食事をするとIDLが増加するそうです。
さて、VLDLとLDLの観点から、動脈硬化を抑えるためにどのような栄養素を摂取するのが望ましいでしょうか?これは次週に!
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2011年10月22日