診察の方法が少しだけ変わっています
実はみなさんから見えないところで診察の方法を変えました。
何を変えたのか・・?
漢方薬の選び方を変えたのです。
今までは、感染症がどのように生じているか?ということにかなり重点を置き、それに対処できる抗生物質や漢方薬を選択して参りました。
さらに今後、同じような悪い状況になりにくくなるように、体質を強化するような漢方薬も選んでいました。望診と脈診を主として、最終的にはエネルギーで確認することで漢方薬を決めていました。
ただ現実には、手足の問題を言われると水の問題として、産前産後の女性の問題は血の問題として考えた方がより早く解答にたどりつけます。
つまり東洋医学でいうところの「気血水」で問題を捉えることができれば、処方の精度がさらに増していくのではないかと思っています。
言ってみれば、今までは攻撃と守りに徹していたのですが、これからは、機能にも目を向けて診察をしていくというでしょうか。
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2012年06月17日
風邪の終わりこそ入浴は控えめに
風邪のときによく、入浴はどうしたら良いですか?という質問を受けます。
従来の医学では、統一見解はなく、医師の判断、それも大した根拠のない判断で(だと思いますけど)、入って良い、入ってはいけないということを患者さんに伝えているのだと思います。
医学教育の中で、入浴をどの段階で許可するか、何を根拠に禁止するか、などということを私は教えていただいた記憶がありません。もっとも最近の医学教育でどうなっているのかは分かりませんけれど。
強いて言えば、入浴に耐えうる体力かどうかを判断していると言えます。
ところが単純な風邪の場合、入浴に耐えられない体力などということはあまり考える必要がなく、気分的に入りたい、入りたくないで決めればよいようにも感じます。
でももう少し深く考えてみましょう。より良く風邪を治すための入浴方法があるはずです。
入浴することにより何が起きるか考えてみましょう。
> 汗をかく
> のぼせる
> 表面から温まる
> 疲れる
こんなところでしょう。風邪の初期には表面が冷える、汗をかいていないと辛い、ということがあるかもしれません。疲れの問題がなければ、さっと温まり終わりにしておきたいところです。
そして風邪の後半。もう身体は辛くないので、ゆったりと入浴したいところかもしれません。問題は身体の中に残った熱が身体を上っていくことでしょう。それが咳になったり、口の渇きになったりするのです。
この時期ののぼせは咳を増悪させるので、長い入浴はやはり避けた方が無難です。汗をかくほどに入浴すると口の渇きもひどくなり、治りが悪くなると思います。
風邪の間は体力に合わせて入浴するかどうかを決め、症状がある間は短時間で切り上げるようにしたいものです。
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2012年06月10日
自分の体調を知る
都会の高齢者の傾向を見てみると、私の私見ですが(あくまで一般論です)、
・結構元気である
・着るものもやることも割と若い
・お金にゆとりがある人がかなりいる
という印象です。
何が言いたいのかというと、高齢者向けのレジャー施設、特に健康維持のためか、スポーツ施設がかなり流行っているらしいのです。確かにこういう高齢者であれば、商業上はターゲットになってしまいます。
先日、高齢者の方を診察したときに、とても若いなあという印象を持ちました。聞いてみるとスポーツをかなりされているとのこと。
『ダイビングプールで訓練をしてきました。』
本当に驚いてしまいます。ところが診察してみると脈に力が全くありません。体の気が足りず、熱を生むことができない状態になってしまっているのです。
「あれあれ・・・?」
これでは健康とは言えないですから、休息を言い渡しました。すると、
『明日は運動しても良いですか?』
「うーん、自分の状態を分かっていないのだな」と少し悲しくなりました。結局漢方薬を飲んでいただくことで回復を図ることにしたのですが、安易な回復でさらにスポーツ熱が高まることを私は恐れています。
みなさん、自分の体調の良し悪しが本当にはよくわかっていない、という場合があります。ときどき自分の体と対話して、知らぬうちに無理がかかることのないようにしたいものです。
あと、若いうちにすごく我慢して努力して、高齢になってから勢い込んでスポーツなどを始める人もいらっしゃると思います。しかし何となくですけど、スポーツは若いうちからして、だんだん静かに生きるのが良いのかな?なんて思いました。
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2012年05月27日
耳鳴り治療の一側面について
耳鳴りの治療は難渋することが多いです。
現時点では大きな耳鳴りとか、気になる寝られないような耳鳴りを鎮めることは割とできるようになっていると思います。例外はありますが。
しかし、完治にはなかなか至らないのです。
最近、興味深いことがありました。
耳鳴りの患者さんが不妊治療を続けているということをお聞きしました。相当な冷えがあるようで、なかなか難しいようにお見受けしたので、
「漢方薬で冷えをとってみましょうか?」
と何の気なしに薬を選び始めました。強い冷えを鎮める処方のサンプル瓶を患者さんが持った瞬間、
「あれ?耳鳴りがなくなりました」とのこと。
耳鳴りの治療に関して、寒熱の状態がそれほど大きく関係するとは考えたことがなかったので、驚きました。
漢方薬を使っている患者さんの場合には、寒熱の状態に即した内容の漢方薬を選択していることと思いますが、西洋薬のみを用いている患者さんも少なくないため、漢方薬を併用してみようかどうしようか、迷うところです。
日常の診察の中にヒントがたくさん隠されているのですね。
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2012年05月20日
診察には確かにロジックも大切ですけれど
診療をしていて、間違いが思わぬ解決法を生み出してくれることがあります。
私の手元には、身体の微妙な変化を観察するため、薬のサンプルが200種類以上あります。それを短時間で触れていただき、その後観察するということを行う事があります。
「この人はストレスによる気逆(気が頭の方に上がってのぼせた状態)だから、気を降ろして、気が巡りやすい状態を作ってあげないとな」と思うことはよくあります。
さて、どうやって気を巡らせるか・・・。
その時は、まず気を巡らせてストレスを処理しよう。まずは香蘇散(こうそさん)と考えました。
香蘇散は気を巡らせる働きのある蘇葉(そよう;紫蘇の葉のこと)と香附子(こうぶし)、陳皮(ちんぴ;ミカンの皮)を含んでいるので、これで良いかなと思い、サンプルに手が行きました。
ところが、実はそこで手にしたのは女神散(にょしんさん)でした。女神散は、気を巡らせる生薬と共に、気を補ったり、血を巡らせたりする働きのある生薬も多く含まれています。
気が足りないとか、血が回っていないという印象がなかったので頭の中では香蘇散を選択したわけですが、たまたま(誤って)手にした女神散がその患者さんにピタリと来たのには驚きました。
診察には確かにロジックも大切ですけれど、こういう勘というか、運的なものも作用することは確かですね。
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2012年05月13日
切迫早産の漢方治療??
先日、切迫早産の方に良い漢方薬を処方するよう、助産院から依頼がありました。
「切迫早産かー。よく分からないよー」
というのが本音ではありましたが、薬のエネルギーを身体に合わせていくと行き先が見えてきます。
ご本人が言う事には、疲れたときに切迫早産になったのだそうです。
そして、ご本人の身体が選んだ処方は血虚の処方でした。
ということはどういうことなのか・・?
そうか!分かりました。いや、これは常識的なことなのかもしれないし、逆に正しい内容かどうかも分かりませんけど。私なりの解釈ですので、悪しからず。
切迫早産とは、胎児が十分な発育を待たずに母体から出ようとしてしまう状態です。どうしてそのようなことが生じるのか?それは、母体内の環境が胎児にとって、あまり良くなくなったからなのでしょう。
今回は過労が切迫早産の原因になっています。疲れにより、交感神経が緊張した状態になり、母体の血流が悪くなったのでしょう。胎児は十分なガス交換ができなくなり、体外に出ようとしたのでしょう。
休養を取ったところ、切迫早産は持ち直して安定したとのことでしたので、さらに血流を良くする、つまり血の消耗を抑える補血の内容を選択して処方を考えてみました。
良くなるとよいですね。
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2012年05月06日
一貫堂処方を少し応用してみようかな
すぐに扁桃腺が腫れて熱が出るお子さんが少なからずいらっしゃいます。慢性扁桃炎で何かをきっかけに熱がドーンとでる病気です。口の中のリンパ組織もいつもモコモコ腫れる傾向を持っています。
こういう状態の人をみると、何とか炎症を止めたいと思うのですが、いつまでも抗生物質を使うわけにもいきませんし、なかなか難しいものです。
ある時ふと、古典では腺病質の治療薬とされている柴胡清肝湯はどうだろうか?と思い至りました。古典では小児に対する処方として紹介されている処方です。
ちなみに腺病質は体格が悪く、貧血や湿疹などを起こしやすい病弱な小児の状態、と説明されています。一般に体質虚弱で神経質とのことです。
この処方は生薬構成から考えても、熱を抑える作用、血を補う作用が中心に作られていますが、さらに解毒のための生薬(牛蒡子、連翹)が加えられており、腺病質の人であれば、大人でも使える処方のように思われました。
一貫堂処方と呼ばれる体系の中では、腺病質の小児によくある上気道炎に広く応用されるのが柴胡清肝湯です。この体質の人には青年期は荊芥連翹湯、女性や泌尿器疾患には竜胆瀉肝湯を用いるとされています。
一貫堂処方の考え方は、どうして年齢ごとに分かれているのかが分かりにくい難しい体系ではありますが、少しずつ応用していきたいと思っています。
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2012年04月30日
お母さんも良いものを食べて下さい
最近、お子さんの診察をしていて、化学薬品の汚染を感じることが結構多くなりました。
鼻水がずっと続いているお子さんは、体質だからと諦めてしまうことも多かったのです。今までは睡眠不足を疑ったこともあるのですが、どうもピンときませんでした。みなさんではないでしょうけれど、食べ物に問題がある場合もあるのではないでしょうか?
近頃は食品売り場も皆さんの忙しい生活ぶりを反映して、惣菜の占める割合が増えています。きちんと作られた惣菜もあるのでしょうけれど、化学薬品を使っている場合も少なくないのではないかと思います。
あとは冷凍食品ですね。レンジだけで料理が完成するのですから、それなりの薬品が使われていると考えざるを得ません。コンビニ弁当の表示も見るとかなり色んなものが使われています。
鼻水がどうして?と思われるかもしれません。
化学物質は主に便、尿、汗から体外に排泄されます。これは未確認ではありますが、鼻水からも排泄されることがあると思うのです。もしもこれが正しければ、便、尿、汗から出しきれないほどに化学物質が体内に入ると、鼻水が沢山出ることになります。
証拠はどこにもありませんが、実感としてはかなり正しいつもりです。
先日、お子さんの食事はきちんと作っていて、化学物質は考えられないというお母さんがいらっしゃいました。ところがお母さん自身の食事が少しいい加減になることがあるそうで、授乳中ということもあり、それを修正していただくように指導してみました。どうなりますでしょうか。楽しみです。
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2012年04月22日
上品・中品・下品について
漢方薬を処方していると、どうしても気になることがあります。それは、生薬の性質です。とくに長期に連用しても問題ないものなのかどうかが気になります。
そこで、その指標となるのが上品(じょうほん)、中品(ちゅうほん)、下品(げほん)という考え方です。参考サイト
上品とは、長期に連用しても問題がなく、食品とほぼ同じ扱いでよい生薬です。このサイトでは、ハトムギ(ヨクイニン)、人参、甘草、ゴマなどが挙げられています。
上品といっても、甘草は大量に使用する場合には、電解質異常が生じる恐れがあるなど、一定の服用ルールは必要でしょう。
中品は上品よりも少し副作用の可能性がある生薬で、長期連用には注意が必要な生薬です。風邪によく使われている葛根湯の中には、中品が多いのです。葛根、麻黄、芍薬と3つも中品が含まれています。風邪のときには良いですが、肩こりで葛根湯を長期に連用されている方は注意が必要でしょう。
下品は作用が強く、毒性もそれなりにある薬です。西洋薬をこの分類にあてはめるなら、この下品に該当するでしょう。こういう生薬を用いるときには上品も絡めて作用は強く、副作用は弱くするように処方構成をしていることが通常です。
しっかり効果がある処方を長期に服用しても、副作用が出にくいのはこういう配合の妙があるからでしょうね。
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2012年04月15日
正しく歩くこと~イライラのツボ
最近、正しい姿勢で歩くように心がけています。
まず背筋が伸びた時に、任脈と督脈が流れ出すのが分かります。任脈と督脈というのは経絡、つまり多くのツボを結んだ線のこと、ですが、この経絡は生まれたときだけ開いていて、大人になるに従って閉じてしまいます。
この経絡を開くと気に敏感になってきます。気功でもまず、この経絡を開くことが重要なテーマです。
感じとしては、頭に涼しい風が吹く感じだったり、呼吸が楽になり森にいるように感じられたりします。
実は任脈、督脈には重要なツボがたくさんあります。ですから、この体の正中を活性化することで、健康により近づけると思います。
例を挙げますと、イライラしたときに鍼師はどこに鍼を打つでしょう?
答えは一つではありませんが、任脈の上の壇中というところに鍼を打ちます。この壇中はヨーガではアナハタチャクラと呼ばれる感情のチャクラとして知られている場所です。学問は異なっても体の構造は同じなのだな、とあたりまえのことに驚かされます。
そしておまけに、イライラのツボをもう少し挙げると、まず神門ですね。手の小指のところにどうして神様の門があるのか不思議です。心経は心の問題と大きく関わっています。
そして肝経にはストレスを処理する働きがありますから、刺激しておきたいところです。そこで、太衝というツボを考えてみます。
太衝は肝経の原穴(げんけつ;中心となるツボ)ですので、ストレスから生じるめまいの治療にも使えるということに、初めて気づきました。
余談から話がどんどん逸れますが、おしまい。
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2012年03月25日