新型コロナウイルスをめぐる英語表現
英語学習をしている人は多いと思います。私もその一人ですが、今朝は驚きましたね。テレビでwalking pneumoniaという単語が出てきました。「歩いている肺炎」という意味ですが、先日、日本に上陸した新型コロナウイルスが、症状が出ない人が歩きまわって広がっていくことの表現だと説明されていました。

しかしAmerican lung associationのホームページを見る限り、感染力のある人が歩いている表現ではなく、あまり強く症状が出ていない状態の人で、健康に十分に配慮すべき人という意味のようです。油断すると発症するということがその意味であって、感染させて回る人という意味はあまりないか、あっても付加的な意味のようです。
2020年02月02日
新型コロナウイルスの報道から
新型コロナウイルスはすでに日本で8人の感染者が確認されており、潜伏期間中に感染するという中国政府の発表や、バス会社関連の報道を考慮すると、あくまでも予想ですが、すでにこれは何百倍(もっと?)もの不顕性感染(症状がでないうちに受ける感染)者がいると推測せざるを得ません。しかしそのことで、知らないうちに免疫を獲得する人も出てくると思います。もちろん危険なウイルスだと思うので、封じ込めなど気をつける必要がありますが、みなさんは怖がるよりも自分の体調を整えることに集中し、人込みを避けるようにして、SARSの時のように時間の経過を待つのが良いと思います。

2020年01月30日
花粉症による目のかゆみ
花粉症の季節になってきました。
年々、花粉症の方は増えているわけですが、とくに目のかゆみの強い人が多くなっています。ステロイド点眼薬を使用するケースもないことはありませんが、眼圧が上がりやすいのであまり好んでは使用しないようにしています。
気づいたのは、目のかゆみを訴える方は、やたら忙しい、あるいはきちんとした食事を摂らない人が多いということです。外食が多くなると食品添加物摂取が多くなります。それにサプリとか薬をたくさん飲む人も多く、飲料も多様になっています。それらすべてに食品添加物が入っていると考えると、結構な量を摂取していて、これが一因になっているのではないでしょうか?
目のかゆみがでる皆さん、一度ご自分の食卓を見直してみましょう。それだけで症状を軽減できるはずです。

2020年01月26日
嗅覚セミナーに行ってきました
味覚や嗅覚障害をもつ患者さんが増加しています。日ごろ困る症状ですし、五感をひとつでも失うことはQOLにも大きく影響することは間違いありません。味覚嗅覚障害の治療は重要な割に、あまり行われていません。
当院の味覚外来で久しぶりに新患を受け付けたところ、問い合わせが数件あったようです。分院の新中野耳鼻咽喉科クリニックでは、嗅覚に関する専門外来を立ち上げるべく、現在精力的に準備を進めています。先日の連休も”嗅覚冬のセミナー”という合宿形式の泊まり込みセミナーに参加してきました。嗅覚研究の専門家が数多く参加されていました。
もちろん現在でも、味覚嗅覚に関するお悩みに対応しておりますので、どうぞご相談ください。

2020年01月19日
口内炎を漢方薬で治す
先日、山梨中医学研究会に久しぶりに行ってきました。
今回は、私の師匠である田中耕一郎先生が口腔の病気と漢方治療についてご講演されました。
口内炎を漢方薬で治せるということはわかっているのですが、根が耳鼻科医の私はどうしても局所処置とビタミン剤の投薬で治療をしてしまいます(それでも治りますけれど、笑)。それを漢方薬を使って治すにはどうするかというお話でした。
まず重要なのは胃熱。食べすぎ飲みすぎが原因で胃が熱をもつとき、石膏と知母を合わせて使う。口唇にアフタが多発するのは胃熱の特徴。
そして、強い炎症があるとき、特に舌尖が赤くなるような心火があるときには黄連を用いる。<黄連解毒湯、清上防風湯、黄連湯>
さらに薬効を強くする(口腔に向かわせる)には、桔梗、川きゅう、辛夷を用いる。
あとは解表剤を用いたり、ストレスの対応を考えるということでした。
従来の治療に漢方薬を併用するとよいのではないかと思いました。
2020年01月19日
2020年の診察を始めました
明けましておめでとうございます。

本年も本日より耳鼻咽喉科の外来を始めます。
味覚外来は9日から、補聴器外来は16日からです。
昨年同様、今年もよろしくお願いいたします。
2020年01月04日
2019年の耳鼻咽喉科外来を終了いたしました
本年最後の耳鼻咽喉科外来を終了いたしました。来院下さった皆様、ありがとうございました。
私たちは通常の耳鼻咽喉科の診察とともに、風邪、中耳炎、副鼻腔炎をいかに早くきれいに治すか、咳やのどの痛みなど、いつまでも治らない慢性的な症状をいかに本質を見抜いて止めていくか、さらにはどうしたら体調不良になりにくく、また、なっても早く回復できるか、ということを日々考えながら、医師相互に意見交換しながら診察をさせていただいております。
当院耳鼻咽喉科では、多数の耳鼻咽喉科学会専門医を配し、皆さまの健康管理を担当させていただきます。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

どうぞ良いお年をお迎え下さいませ。
なお、新年は1月4日から診察が始まります。
2019年12月30日
渋谷区の就学時検診
渋谷区医師会に所属して一番大変な仕事は、学校検診です。先生によっては昼休みに少しずつやる、という方もおられますが、私は仕事に没頭するタイプなのか、半日休診にして小学校や中学校に出向くことが多いです。
もう18年!学校耳鼻科医をやっています。以前は富谷小、上原小、代々木中と務めさせていただきましたが、現在は笹塚小学校と笹塚中学校を担当し、地元のお子さんたちの健康管理の一端を担わせていただいています。

先週、平日に就学時検診に行かれなかった方たちの検診を渋谷区役所内で行ないました。全部で126人だったと思いますが、土曜日午前の仕事を終えてから従事するので相当疲れました。でも、いつも受診されているお子さんのご家族にお会いすることができるなど、望外の喜びもありました。小さい頃から診察していても、もう小学生!、もう社会人!ということがしばしばあります。お子さんたちが成長するのは早いものだと感じました。
2019年12月15日
アレルギー性鼻炎、花粉症の治療戦略
昨日は大鵬薬品工業(株)から依頼のあった、
アレルギー性鼻炎の薬の使い方について話をしました。
薬の効果と眠気との関係、花粉症の漢方薬を考えるときに、寒い季節、温かくなってから、温かさが続いてからと使う処方が季節ごとに異なることなどをお話ししました。
やはりアレルギー性鼻炎の薬の調節性、確実性という意味で抗アレルギー剤がかなり堅実です。従って抗アレルギー剤をベースに個々の体調に応じて漢方薬を加えていく戦略が患者さんのためには良いのではないかと話しました。
漢方薬の話はあまり興味をもっていただけないかもしれないと内心思っていましたが、
抗アレルギー剤との相性のこともあり、社員の方たちの受けもよく、深いところまで話をすることができました。

機会を与えてくださった社員のみなさまに
この場を借りて感謝申し上げます。
2019年11月29日
高齢者の難聴と認知症
今月は院内研修として「高齢者の難聴と認知症」というタイトルで話をしています。
この話の発端は、Lancetという有名雑誌に「認知症の関する修正可能な9つのリスク要因のうち、難聴が最上位である」という報告がでたことです(Livingston G et.al: Lancet390(10113): 2673-2734, 2017)。
この9つのリスクとは、難聴、低教育、高血圧、肥満、喫煙、うつ、運動不足、社会的孤立、糖尿病だそうです。
補聴器の認知症に対する効果も出ており(Amieva E, et al: J Am Geriatr Soc63: 2099-2104, 2015)、早期の補装具(補聴器)使用や人工内耳も選択肢として重要なのだなとあらためて思いました。
余談ですが、私が面白いとおもったのは、高齢者が騒音下で話が聞き取りにくいこと、離れると聞きにくいことには科学的データがあることです。高齢になると必要なSN比(信号対雑音比)が大きくなること(Sato H, et. Al: J Acoust Soc Am117: 1157-1167, 2005)、残響の負荷に弱くなるため、距離が離れた時に直接届く音と残響の音が混在しやすくなる(Nabelek AK, et. Al: Handbook of clinical audiology 3rd ed. : 834-848, Williams& Wilkins, 1972)ことが理由として挙げられていました。
2019年10月20日