暑熱病と暑湿病について(中医学)
まだ暑いのでこの話題で行きましょう。暑熱病と暑湿病という概念についてです。
中医学では暑いときに罹患する病状を2種類に分類しています。
急性で経過して熱中症のように熱が気を消耗したり、熱が体液を消耗したりするものを暑熱病と言います。
暑熱病の場合、熱を下げる必要がありますが、体液を補いつつ、しかも熱を急激に下げる必要があるわけです(清熱去暑)。
この季節によく目にするスイカ、きゅうり、冬瓜、苦瓜、緑豆などの食材や、薄荷、菊花、麦門冬、石膏、知母など、熱を下げると同時に体液を養う内容の生薬が用いられます。スイカの皮も使われます。
日本のように高温多湿の気候の場合、冷飲食や冷房環境などに過労や睡眠不足が絡むと、いわゆる夏バテの状態になります。これは暑邪と湿邪が共同して症状を呈していて、これを暑湿病と言います。
暑湿病は、暑邪が強い場合や湿邪が強い場合などに分類されますが、冷房などにより、夏でも湿邪が寒邪と合わさり寒湿証になる場合もあります。
日本の場合、特に湿邪が強いことが多いと思われるので、熱が出ても顔が赤くならなかったり、表情もぼんやりしたりと、暑邪の症候があまり目立たない感じになります。
すると暑邪に対して清熱剤を使用することはあまり重要ではなく、去湿の対応が重要になります。
生薬では半夏、厚朴、杏仁などが主に上半身の湿に対応し(耳鼻科でもよく使用する生薬です)、滑石、竹葉などが下半身の湿に、薏苡仁(はとむぎ)は全身の湿を除くのに有効です。
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2012年08月26日
漢方薬の少量投与に関する考え方について2
最近、漢方薬を少量で投与しているというお話をしています。方向性さえ合っていれば、あとは人間の自然治癒力で治っていくだろうと考えて実践しています。つまり漢方薬は方向性を与えるだけで、治すのは自分という考え方です。
これはなかなか面白いです。
身体の感じをいつも感じていただきながらの内服になるためか、みなさんとても敏感で、数日で「全く効かなくなった」とおっしゃいます。概ね5日くらいでしょうか。
今までの投与方法ですと、最後まで飲むことも少なくなかったのかもしれませんが、方向性に関することをこちらで説明してから内服していただいているので、ご自分で薬を中断してまた相談にいらっしゃることになります。
身体が薬にどう反応しているのかを体感していただくというのもとても大きなメリットと思いますが、もうひとつ見逃せない重要なメリットがあります。それは生薬の節約です。
最近、生薬がなかなか取れなくなっていて、取れても中国など新興国でも消費が高まっているためか、値段も上がってきています。
生薬の効能はいただき、節約していくという意味ではこの方法はなかなか優れていると思います。
ただ、なかなか広まらない方法かもしれませんね。
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2012年08月12日
漢方薬の少量投与に関する考え方について
最近、漢方薬を少量で投与しているというお話をしています。
これはとても面白い試みだと自分では感じています。というのは、漢方薬は特にベクトルをもった処方であると感じているからです。
ベクトルというと、方向性と量ということになります。
健康になる方向性をつけてあげる、その方向に量的に押してあげる、というのが漢方薬であると思うのです。
道に迷ったときを考えていただければ分かりますが、方向性と量、どちらが大切かというと、もちろん方向性です。
方向性さえ合っていれば、あとは人間には自然治癒力がありますので、自分の力で治っていくものなのだと思います。
量的にその方向に押し込んでいくと、誤った方向性を与えてしまった時には修正が大変になってしまいますし、正しい方向でも過ぎれば健全な状態から遠ざかってしまう可能性があります。
そういういろんな意味で、方向性だけ与えて、あとは自分で治っていただくという発想が必要だと感じています。さらに漢方薬の生薬の不足している現状を考えると、生薬の節約という意味でもとても意義深い考え方と言えると自負しています。
ただ、正しい方向性を与えないと全く何も生じませんので、患者さんの不満は大きくなることが予想されます。ですので的確と思われる判断を気功的に行い、通常量の2~4分の1程度で処方することが少し増えてきました。
なかなか面白いです。結果はまたご報告しますね。
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2012年08月05日
中医学はシンボリズム的である?
先日、久しぶりに師匠の一人と考えている永楽堂クリニックの下谷武志先生の講演を拝聴しました。下谷先生は来年の第30回日本東方医学会会頭を務められます。
先生は「肝」とか「気滞」というのはシンボリズムであると言います。
正直なところ、よくわからないなー、とずっと思っていました。今回、先生のお話を聞いておぼろげながら分かったことを書いてみます。私がその程度の理解度ですので、みなさんにうまく伝わるかどうか。。。
たとえば中医学で使う用語は「肝」と言っても、物質としての肝臓のことを指すというよりは、栄養分(血)を蓄えることと、気血水全体の流れを調整するという機能的な内容が主になっています。
確かに「肝」の内容は肝臓の働きと近い感じもするのですが、完全に肝臓と一致しているわけではなく、あくまでも「肝」は機能を指しています。
こういう「肝」のイメージ、機能的側面をシンボリズムという風に表現されたのだと思います。
中医学はこういうイメージの側面がありますが、これは波動的であり、量子力学的であるので、方剤も2剤、3剤と重ね合わせていくことができるという考えがなりたちます。方剤の組み合わせは無限に近いでしょうから、現代の複雑化した病状にも対応できる場面が多いのではないでしょうか?
一方でいわゆる日本漢方医学はどうでしょうか?
古典を基礎とするこの学問は、叙述的に診断して治療方剤を選択していくという面があるので、きわめて粒子的、古典力学的であり、方剤を合わせると相加的効果しか得られない、西洋薬的な働きを生薬に求めることになります。
伝わったかどうか分かりませんが、私がずっとみなさんに伝えたかった内容のひとつなのです。
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2012年07月22日
田七人参の効能とは?
田七(でんしち)人参というものをご存知でしょうか?分かりやすいという意味で、マンガで効能の説明がなされているものをご紹介します。一応商業サイトですのでご注意ください。
その止血効果は戦争中にも止血剤として使われたほどだそうです。教科書にも止血剤として分類されています。
しかし健康を考えたときに、田七人参の最も大切な効能は「活血」でしょう。活血に関する分かりやすいものを探しましたが、このサイトが比較的良いのではないかと思います。
血液の滞りをなくしてスムーズにするというのが活血の意味ですが、どうやら田七人参はその作用が値段も高いだけに!強いのではないかと思います。
私は舌の裏側にずっとひどい静脈の腫れがあり、長年気にしておりました。自分では健康体のつもりでも、ストレスなどによって血液の滞りがあったのだろうと思っています。
先日来、たまたま機会があり、田七人参を少しだけですが飲むようになったら舌静脈の腫れがひいて、舌全体の色も良くなりました。良くなってみるとよく分かるのですが、くすんだ赤色だったのです!
活血といえば、牡丹皮、紅花などの生薬をすぐに連想しますけれど、田七も狭心症の改善薬として効果が認められているほどの生薬ですから、健康維持のために使用する生薬のひとつとして考えられても良いでしょう。ちょっとお高いですけど(笑)。
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2012年05月27日
口内炎に塩を塗って治るのか?
口内炎を「塩を塗って治す」「梅干塗って治す」と言う人がいらっしゃいます。これはどういうことなのでしょうか?全くのガセネタなのでしょうか?
ネットではこういう反応ですね。賛否両論ですが、実際に治ったと実感している人が少なくないのだと思います。
本当のところはどうなのでしょう?
こんなサイトも見つけました。
このサイトによりますと、トマトジュース、ハーブ、米酢、ごぼう汁、塩水と液体を利用するものと、塩、梅干(果肉、黒く焦がす)、ナスの蔕のように固体のものを利用するものに分けられるようです。はちみつも使われるそうですね。
調べていくうちに何となく分かってきました。
口内炎は白くなりますが、痛みが出るのはその周辺の赤い部分なのです。そこはダメになった表皮細胞があり、口唇を被覆できない状態になっているのですね。
塩や梅干を塗ることで、そのダメになった部分を脱水、壊死させて、痛みとともに脱落させて、ダメになっていないさらにその周囲の元気のよい部分からの細胞分裂を促して、口内炎を被覆していこう、ということなのでしょう。
通常の治療でもトリクロル酢酸を用いて、アフタのできている周囲の粘膜を脱落させる治療をすることがあります。一般的には「焼く」と称して治療を行うわけですが。
もちろんビタミンの十分な補給が成されていなかったり、食品添加物などの薬品類が関与している場合には、そちらの対応も必要になるでしょうね。
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2012年05月20日
文字情報で治療ができる??
新潟でのランチ会には、10人ほどの方たちにお集まりいただきました。
いろんなお悩みを聞いていると、やはり薬が処方したくなってしまいます。しかし旅先では自分がよく使う漢方薬数種類しか持っていません。
しかも、「できれば薬を使わずに治したい!」という見識の人たちですから、
「では、○○薬をどこかの病院で処方してもらって下さい。」ということではみなさんの納得は得られません。
昔から私も薬を使ってばかりいる現代医療には疑問を持っていて、何とか薬なしで医療が成立しないか?と模索しているのです。
私、昨年から書道を始めまたのですが、これは気を乗せて書く特殊な書道な
のです。一種の養気法です。気の力を高める書道ですね。この書道を筆禅道と言いますが、この教科書には、人の健康に寄与しない書は不要であるとまで書かれています。これは格好良いと思いますねー。
実は私がこの書道を勉強しているのは、文字情報を治療に使えると考えているからで、実際に私の母の病床には私の書いた書が掛けてあります。
今回、新潟でもある方に「○○という薬の名を墨で書いて、それを持っていると良い」と話しました。効果はあると思いますが、効果が感じられるかどうかについては、多少の心配もしています。
みなさんももし健康状態に余裕がありましたら(笑)、自分がもらった漢方薬(西洋薬でも大丈夫かな?)の名前を墨で書いて携帯してみませんか?もちろん効果のほどは、書の力量にもかなり左右されるとは思いますが。
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2012年05月13日
スマホ症候群 ~ 久視傷血
スマホ症候群なるものがあるようですね。正式な名称ではないと思いますが。
確かに電車内では気味が悪いほどみんながスマホを動かしたり見たりしている光景を目にします。私もメルマガの草稿をスマホで書いたりしますので、似たよう行動パターンです。
しかし、このサイトにあるように首の彎曲にまで異常がでるのは問題ですね。姿勢が悪くなるといろんな筋肉の不調がでてくるでしょうから。
それと目の使い過ぎが良くないと思いますね。映画のようなものを電車内でずっと見ている人も結構見かけます。明らかに目の酷使と言えると思います。
中医学には「久視傷血」という言葉があります。
長時間ものも見ると、肝は目にひらくことから、肝の血を消耗してしまう、という意味です。こういう人は多いのではないでしょうか?
スマホ症候群の一番の問題点は血の消耗にあるように思えました。
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2012年05月06日
早食いは糖尿病リスクを2倍程度にする
このサイトは早食いの害を分かりやすく説いているサイトです。ただし、誘導型のサイトのようですので、いつの間にか何かを購入していた、というようなことがないように、気をつけてお読みくださいね。
早食いは満腹感が生じる前にどんどん食べてしまうということが生じます。ついつい食べ過ぎて満腹感よりも先に満腹になってしまうのです。これは、カロリー摂取過剰の一つの原因でしょう。
東洋医学的には、小腸がどん欲に何でも吸収するために、胃は酸と消化酵素によって食物を完全に無毒化することが求められます。早く食べると消化が追いつかず無毒化が不十分になり、有害なものを吸収することになるかもしれません。
早食いにはいろいろと悪い面がありますが、今日の本題は、糖尿病になりやすくなるということです。
早食いすると、消化される食べ物が急激に増えて、一気に血糖が上がる要因になります。血糖をさげるために膵臓からインスリンというホルモンがどんどんでて何とか血糖を下げようと身体は反応します。
ずっと働き続けた膵臓は疲れてしまい、インスリンが出にくくなることがあります。一方でインスリンを受け取る側にも変化が出て、インスリン慣れ(造語です)が生じてしまい、血糖を上手く下げられなくなってしまいます。
論文によると(出典が不明です。ごめんなさい)、早食いは糖尿病リスクを2倍程度にするとのことです。みなさんゆっくり食べましょうね。
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2012年04月15日
寒気を感じない体とは?
風邪をひくとまず初めに寒気を感じる、というのが私たちの認識です。
この寒気は外邪が体表面にやってきて、首の後ろとか、背部から侵入しようとする外邪をブロックすることで生じると理解されています。
ところが!なぜなのか??
最近、寒気を感じない人が増えてきたように強く感じます。
私は飽食の時代により、体の免疫力は古代よりも強くなっているため、少々の外邪の侵入があっても、ビクともしない体なのではないか?と思っていました。
この説で納得もしていたし、矛盾もないように思っていました。
しかし、栄養状態が良好な人でも明確に寒気を感じる人がいることに気づきました。私自身もその一人です。
???ではなぜみんな寒気を感じにくくなっているのでしょう?
そもそもこの寒気は、経絡の流れが外邪の侵入により止まってしまうことから生じると考えます。
すると、もともと経絡の流れが止まっていれば??寒気は生じないかも!
そう考えました。昨今はストレスとか、睡眠不足の影響で極端に経絡の流れが悪い人がいることが予想されます。わかりやすく言えば、普段から外邪が侵入したかのような状態で生きている人が少なくない、ということです。
この状態を解消するには軽い運動をして、とくに背中の中心線を意識して動かすような努力が必要なのかもしれませんね。
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2012年04月01日