【アーユルヴェーダ】季節の消化力とお米の話
今週は分子整合栄養医学のコラムはお休みして、久しぶりにアーユルヴェーダのコラムを書いてみます。
今日は東京アーユルヴェーダ研究会に初めて参加してきました。先生はクリシュナUK氏です。とてもお話が上手なので疲れも吹き飛び、話に引き込まれました。その内容の一部をご紹介します。
アーユルヴェーダの食事に関する考え方はとても参考になります。特に消化力と米の話が印象に残りました。
米は新米よりも古米の方が消化に良いのだそうです。インドでは新米をわざわざ俵のまま置いておき、翌年に食べるようなこともするそうです。
では新米は食べないのか?というと、そんなことはありません。消化力旺盛なスポーツ選手などは新米の方が良いかもしれないということでした。でも体調の良い人でも基本的には古米の方が良いのだそうです。まるでお酒のようですね。
そしてこれも知らなかったのですが、冬には消化力が高まるそうなので、秋にとれた新米を冬に食べるということは理にかなっているのだそうです。もしも秋以外の季節に収穫が成されたら、それは自然の理に反することになるのだそうです。
こういう自然の理を意識して内容が作られているアーユルヴェーダは、自然をより深く考える材料を与えてくれますね。
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2010年11月14日
【栄養療法】鉄の欠乏について3
通常の鉄剤を服用するとフリーラジカルで胃痛が生じることがあること、鉄過剰症はヘム鉄経口投与では生じないこと、溶血時に血清鉄が上昇すること、女性でフェリチンが低下しないとき、生理不順や肝炎を考えるということをお話しました。
検査データではもうひとつ、MCV(平均赤血球容積)が重要です。ヘマトクリット値を赤血球数の10倍で割った数です。ひとつの赤血球の占める面積の指標と言えましょう。
つまり十分に赤血球を作る材料が揃っていないとMCVは低下します。タンパク質、鉄、ビタミンB、ビタミンAの不足などを考えます。
ところが、ビタミンB12、葉酸が少なくなると、MCVは高値になります。基本的には胃からの吸収が阻害される場合ですので、ピロリ菌感染による胃の委縮、胃の切除後、あとは飲酒も関連します。
MCVの低下と上昇、これが同時に生じることも少なくありません。MCVが一見正常に見えてしまうのですが、実は鉄もビタミンB12も同時に不足しているという場面に結構遭遇します。
その場合には、鉄を補給するとMCVが異常高値になりますし、ビタミンB12を補給するとMCVが異常低値に変化します。
血液検査が正常な値だからと安心できないひとつの好例であると思います。
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2010年11月07日
【栄養療法】鉄の欠乏について2
通常の鉄剤を服用するとフリーラジカルで胃痛が生じることがあること。鉄過剰症は、経口投与では生じないことをお話しました。
ところが、鉄を過剰に投与されなくても血清鉄の値が上昇することがあります。それは溶血しているとき、すなわち、赤血球が壊れているときです。このときには赤血球中のヘモグロビンが血清中に出てきますので血清鉄の値は上昇するのです。
これは酸化ストレスが増しているときに生じる現象です。生活環境や、食事の環境の見直しが重要ですが、同時にビタミンEを摂取することで改善されてくるでしょう。
体内貯蔵鉄の指標となるフェリチンという値があります。通常の血液検査では何故か測定されることはまずありません。この値は若い女性では大体低下しています。月経の影響はそれだけ大きいわけです。
ところが若い女性で、フェリチンが低下しない人がいます。正常値だから良いのではないか?ということにはなりません。フェリチンが高い若い女性のの場合考えておかなくてはならない状態がいくつか考えられます。
ひとつは生理不順。生理がこないと出血しないので、フェリチンの値が下がりません。もうひとつは肝臓が炎症などで、フェリチンをたくさん作るように刺激を受けている場合です。あとは、鉄が潜在的に欠乏しているとき、フェリチンを代償的に作って、何とか鉄を貯蔵しようとしている場合でしょう。
私は少しフェリチンの値が高かったので、肝臓の負担を軽減するように、ビタミンBとたんぱく質を十分に補ってきました。これでフェリチンが下がると良いのですが、下がらないときには潜在的鉄欠乏を考えないといけません。
来週ももう少し鉄のお話が出来ると思います。
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2010年10月31日
鉄の欠乏について
鉄については以前にも話をしたかもしれません。
とにかく重要なミネラルなので繰り返しになっても良いでしょう。
鉄欠乏性貧血の方で鉄剤を服用すると胃が痛くなる、という人もいると思います。私はずっと胃酸過多による症状が出てしまうのだと解釈していたのですが、実は違っていました。
原因はフリーラジカルです。
胃の中で3価の鉄が2価に変化しますが、このときにフリーラジカルができてしまいます。これが胃痛の原因になっているのです。
こういう場合でも、胃痛なので胃酸分泌を抑える薬が投与されているケースが多いようです。しかし、それだと鉄が2価に変化しませんから、吸収が悪くなり、鉄剤を投与している意味がなくなってしまいます。
やはり鉄剤はヘム鉄の形で2価のまま摂取した方が良さそうですね。
医師は、鉄過剰症について学生時代に習います。試験にも出やすい項目なので、よく覚えています。反面、鉄欠乏性貧血はありふれているので、かえってよく分かっていないという面がありそうです。
鉄の過剰は口から鉄分を摂取しても生じないようです。過剰になるのは、鉄剤を注射した場合だけのようです。鉄をたくさん摂らないといけない人はたくさんいます。そういう場合にはきちんとしたサプリメントを口から摂れば問題ありません。
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2010年10月24日
日本アーユルヴェーダ学会に行ってきました
このたび日本アーユルヴェーダ学会で、初級中級の講座がありましたので、受講してまいりました。食事のときに食前の生姜と、食後のフェンネルを配布するようなユニークな学会です。
一番驚いたのはマッサージの効果ですね。手のひらを上に向け、手首の数ミリ腕側(中枢側と言います)の正中部をマッサージすると、急に気が通るのでビックリしました。
そのときには理論を習いませんでしたが、中医学的には陰維脈という奇経を内関というツボ(主治穴)で刺激したようです。手背の同じ場所に外関というツボがありますが、これは陽維脈の主治穴です。自分のこれらの奇経が流れていない(具合が良くなった=普段は悪い)ことに少しショックを受けました。
●アーユルヴェーダのホメオパシーの一番の違い
先日、日本ホメオパシー医学会のご署名をお願いしました。これは日本学術会議が、ホメオパシーを用いるのは適切でないという批判を受けてのものでした。
確かに、ホメオパシーは波動医学であり、学問としての根拠が科学者には曖昧に映ってしまうということは否めません。
私は西洋医学者ですが、波動医学を診察に織り交ぜて使っているので、ホメオポシーも西洋医学と共存できるという考えなのですが、二つだけ西洋医学になじまない部分があります。
一つは効果を出すために溶液を振らないといけないこと、もう一つは濃度が薄いレメディの方が強い効果がでることです。これがどうしても西洋医学になじまないですし、ホメオパシーを実践する側も副作用がない、などと言ってしまうので(私は嘘だと思います)、西洋医学と対立してしまいます。
今回、日本アーユルヴェーダ学会に参加して強く感じたのは、アーユルヴェーダは西洋医学の理論と並列して存在できる学問であるということです。むしろその科学的根拠をサポートする東洋的根拠を矛盾なく与えてくれます。
例えば細胞の構造に関してですが、各酵素による反応とミトコンドリアによるエネルギー産生はピッタ、形質膜内外のイオンなどのやり取りはヴァータ、細胞質と細胞膜による形態維持はカパの働きということで説明がつきます。
アーユルヴェーダとホメオパシーは統合医療の中では並列の扱いですが、西洋医学の理論と対立しない東洋医学の理論であるアーユルヴェーダの方に、私は大きな可能性を感じました。
●アーユルヴェーダは肉体も心も循環の思考
アーユルヴェーダでは予防を重視します。これは中医学と相通じるところがあります。体質を3つ(ヴァータ、ピッタ、カパ)に分類し、それぞれに行うべきことが異なります。中医学でも寒熱や燥湿、虚実などの組み合わせで体質を分類しますよね。西洋医学はデータ重視ですので、どうしても個々の内容に関しては弱くなります。
食物に関しては自分でないものを自分にするので、その変換がスムーズでないことをとても嫌います。そのときの消化力に見合った食べ方が求められます。そして便などの老廃物が自然を巡って、また自分に影響してくるという循環思考です。これは自然保護の考え方にも繋がります。
メンタル面も同様で、自分が感じたことを言動にすると、それが他者に影響を与え、それが環境に変化を与え、その変化がまた自分の感覚に影響を与える、そういう循環になっています。ここからは規律が生まれ、冷静さを求められることになります。社会の規範が自然に生まれるシステムなのですね。
このようにアーユルヴェーダでは言葉もとても大切にしています。講義の前に先生が、必ず歌で祈りを捧げてから講義をされていたのが印象的でした。
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2010年10月24日
【栄養療法】分子整合栄養医学講座を受講しました~ホモシステイン
先週、分子整合栄養医学講座を受講しました。国内唯一の講座で、全国から興味を持っているドクターが集まってきます。今年は昨年よりも20人くらい多い70人くらいのドクターが、もの凄い量の講義内容と格闘していました。
飲み会の席で、あるベテランの先生が「ホモシステインを測定している」と話してくれました。
ホモシステイン・・?
ホモシステインは加齢とともに増加し、葉酸、ビタミンB12、B6が欠乏することでも高ホモシステイン血症になります。
高ホモシステイン血症は血管内皮を傷害しますし、活性酸素を発生させる系
活性化してしまうので、動脈硬化や血栓症の危険因子と考えられています。(知らなかったー)
これを防ぐには葉酸を摂取することが重要とのことです。もちろんビタミンB群の摂取も必要です。
ホモシステイン濃度を測定することは、葉酸とビタミンB12の状態をみる事ができるので、実は大変便利だったのですね。
ただ、ホモシステインの値は抗てんかん薬や喫煙で高値になるので、判断には注意を要します。
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2010年10月17日
【栄養療法】ビタミンDについて2
先週はビタミンDのトピックスについてお話しました。
活性型ビタミンDが骨の形成のみならず、ウイルス性気道感染症を抑えるとか、抗がん作用を持つということがポイントでしたね。
ビタミンDには細胞の分化、角化を誘導する働きがあるため、皮膚病である乾癬の治療に用いられています。この働きは抗がん作用にも繋がると考えられます。
また免疫を担当するT細胞やB細胞に働きかけ、免疫を調整してホメオスターシスの維持に大きく役割を果たしていると思われます。これが感染症に対して抑制的に働くのでしょう。
また、ビタミンDは細胞核に直接働く形態をもっており、タンパク合成を調節していると考えられます。これがペプチドホルモンの分泌の調節に役立っており、インスリン(血糖を下げるホルモン)や、カルシトニン(血液中のカルシウム濃度を下げるホルモン)の分泌に関与するのでしょう。
ビタミンDは食事が吸収される場合と、皮膚に光が当たることで合成される場合があります。加齢とともに食事からの吸収も、皮膚での合成も、低下してくるため、少し運動して日光に当たるのが骨そしょう症の予防に効果的とされています。
ただし、必要以上の日光浴は皮膚がんの原因にもなるため、注意が必要でしょう。
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2010年10月03日
【栄養療法】ビタミンDについての概略
今日は趣向を変えて、ビタミンDについてお話します。
というのは、先日、「抗加齢医学の実際」という講演を拝聴した中で、ビタミンDがウイルス感染の免疫にも有効であることを聞いたからです。
実際に、学童のインフルエンザ予防にビタミンDが有効であるという論文や、活性型ビタミンDの濃度が高くなるとウイルス性気道感染症が減少するという論文があります。
ビタミンDは骨を強くするためにあるビタミンであるという認識でしかありませんでしたが、感染症の予防に効果があるとは驚きました。何でも、粘膜上皮のペプチド形成にビタミンDが必要なのだとか(詳細はまだ私も理解していません)。
抗がん作用も取り上げられていました。効果があるとされているのは、大腸がん、乳がん、前立腺がんです。大腸がんには効果がないという論文もあったりして、評価がまだ明瞭でない部分もあるようです。
現代人には不足しがちな栄養素なので、魚を積極的に食べましょうということで講演は終了しました。
私はビタミンD濃度を測定したことがありませんが、自分でやってみようかなと思っています。今年はインフルエンザワクチンを接種しないで、ビタミンDで対処してみようかな(悩み中)。
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2010年09月25日
【栄養療法】大豆イソフラボンについて2
今日は大豆イソフラボン2回目です。
先週の復習ですが、イソフラボンは女性ホルモンと似た作用を持ち、更年期障害や骨そしょう症に効果を現します。若年者の月経異常の場合には、まずたんぱく質不足や鉄分の不足を補い、必要ならイソフラボンを用いると良いでしょう。
今週はホルモン依存性のがんの話からします。
厚労省研究グループが1990年代に行った研究によると、大豆イソフラボンの摂取量が多いと乳がん発症率下がるとのことです。世界的にもイソフラボン摂取量の多い地域では乳がんの発症率が低いとのことです。アメリカでは乳がん再発予防にイソフラボンが使われているそうです。前立腺がんにもイソフラボンは有効なようです。
がんに効果があるからイソフラボンを摂取しましょう!というのも短絡的な感じがして好きではないのですが、一応現時点で効果が確認できている癌への効果を確認してみましょう。
イソフラボンの一種であるゲニスティンには乳がん、前立腺がんの他、腸がん、肝がん、皮膚がん、胃がん、白血病に対して抑制効果が確認されています。また、別の種類であるダイゼインにも、乳がんや白血病に対する効果が報告されています。
ということでまとめますと、イソフラボンの生理作用としては主に、発がん抑制作用、女性ホルモン様作用、そして骨密度低下抑制作用ということになります。
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2010年09月19日
【栄養療法】大豆イソフラボンについて
今日は大豆イソフラボンについてお話してみます。
大豆イソフラボンは、うちのクリニックで最初に入れたサプリメントです。それだけ可能性を感じていますし、しっかりとした製品であれば効果はそれなりに出るだろうと思っています。
最初は、難聴に効果があるという論文を見て使ってみることにしたのです。しかしその情報の真偽はまだ明確ではありません。恐らく患者さんをうまく選べば良いのでしょうけれど、まだ研究が足らず、実用面で評価できるまでに至っていません。
さて。
イソフラボンが最も効果を現すと思われるのは、更年期障害の方の症状だと思います。女性の場合、女性ホルモンが45歳ごろから急激に減少してきますので、女性ホルモンと似た作用を持つイソフラボンは有用だと思います。
イソフラボンは更年期のホットフラッシュや、月経不順、イライラ、肩こりなどに効果を現すととともに、骨の形成促進、吸収抑制を起こし、骨そしょう症を防ぐものと思われます。
ちなみに、女性は明確に血中エストロゲン濃度が下がるため、骨が脆弱になって骨折することが多いのですが、男性の場合には女性のように閉経という転機がないため、アルコール飲酒、喫煙、甲状腺異常、癌の存在などが原因になって二次的に骨そしょう症になることが多い(30%程度)ようです。
最近、若い人で月経異常が増えているようです。痩身願望があるため、難しいのでしょうけれど、まずはたんぱく質や鉄分を摂取することで栄養状態を改善させて、さらにまだ月経異常があればイソフラボンを使用してみるというのも一法でしょう。
さて、次週はイソフラボンについてもう少し掘り下げてみます。
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2010年09月12日