【栄養療法】微量でも、とても大切な鉄分について1
分子整合栄養医学を勉強するまでは、鉄分の不足に関する理解は全くありませんでした。しかし勉強した上で患者さんに接すると、鉄分の不足を思わせる症状を持っている人がとても多いことに驚かされます。
医師は必ず、鉄の欠乏は鉄欠乏性貧血、鉄の過剰はヘモクロマトーシスと勉強します。私もそうだったのですが、医師は鉄をたくさん摂取することにとても恐れを抱きます。貧血とヘモクロマトーシスでは重みが異なるからです。鉄の過剰はとてもやっかいな印象を医師は持っています。
しかしよく考えてみると、私が耳鼻科だからかもしれませんが、ヘモクロマトーシスの患者さんは学生時代から通じて診たことがありません。それにひきかえ、鉄欠乏性貧血の患者さんはありふれています。鉄欠乏性貧血はとてもよく見かけるので、どうも医師には深刻さ、切迫感がないのです。
でも、ひどい頭痛であったり、肩こりが慢性的に生じていたり、風邪をひき易かったり、めまい耳鳴りがあったり、疲れやすかったり・・・。いろんなありふれた症状が、鉄欠乏性貧血の診断にならなくても、鉄欠乏によって生じていることを、みなさんは知る必要があります。
なぜこういう症状は女性に多いのでしょうか?それは月経があるからです。私も同じことを習いましたが、よくまとまっているこのサイトを参照して下さい。
大切な部分だけ抜粋します。『食物中に含まれる鉄は1日10~20mgで、そのうち約10%にあたる1mgが腸管から吸収されます。また、消化管や汗、尿中に排泄される鉄も1日約1mgで、収支のバランスがとれています。ところが生理によって失われる鉄は約30mgで、女性に鉄欠乏が起こりやすいのはこのためです。』
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2010年07月04日
【アーユルヴェーダ】アーユルヴェーダにおける体質(プラクリティ)の概念11
ドクターディネーシュのアーユルヴェーダ解説、36回目です。
体質(プラクリティ)の概念11をお届けします。
みなさんはサットヴァを増やすような生活をしていらっしゃるでしょうか?なかなか難しいことではありますが、頑張っていきましょう!
さて、ドーシャ(3つの体質)とグナ(精神的体質)が西洋医学とどのように関わっているのか、先週は血液検査から考察しました。今週は遺伝子解析から考察してみます(出典:Journal of translational medicine)。
ヴァータの人は、細胞周期、DNAの修復、組換えのような細胞過程に関連する遺伝子が多い傾向があります。ヴァータはどんどん進んでいくイメージですので、細胞もどんどん分裂していくのかもしれません。
ピッタの人は、生体活動に起因する刺激や炎症への応答に関わる遺伝子制御、酵素活性の調整に関わる遺伝子が多い傾向があります。ピッタは着実に物事を進めていくイメージですから、調整系の発達が大きいのかもしれません。
カパの人は、細胞の生合成に関わる遺伝子制御。生体エネルギーなどの生合成に関する遺伝子が多い傾向があります。カパの人は潤い、エネルギーが溜まっている(けれどまだ出てこない)イメージですので、そのエネルギーを作り出す力は強いのか、あるいは外に出せるだけのエネルギーを作ろうとしているのか、そんなことを考えさせられます。
ドーシャごとのイメージは私の勝手な見解なのでご容赦下さいね。
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2010年07月04日
【栄養療法】アミノ酸について2 ~ 癌、肝硬変とアミノ酸
先週からアミノ酸について勉強しています。
アミノ酸摂取はバランスが重要です。それぞれのアミノ酸を必要量摂取することが重要です。植物性のたんぱく質ではメチオニンというアミノ酸が不足する傾向があるので、動物性たんぱく質の摂取が重要とされます。
思いつきで書いていますので(笑)話が飛びますが、癌への対応もアミノ酸が重要な役割を果たしています。
抗癌剤を使用するときには、その無毒化、発生した活性酸素の除去が重要になりますが、その働きを担うのはグルタチオンです。グルタチオンはシステイン、グルタミン酸、グリシンから成るトリペプチドです。
またグリシンは癌に栄養を供給する血管が新しく作られるのを阻止する働きを持っています。癌の浸潤を抑える働きもあることが肝癌で確認されています。
また、肝硬変の場合ですが、アルブミンの値が3.8mg/dl以上あると生存率が大きく上がることが報告されています。
たんぱく質の摂取不足や癌などアルブミンがどんどん消費されてしまう場合、積極的に補っていく必要があります。
補っても補ってもアルブミン値が上がらない場合、胃腸からの吸収が悪くなっていないか、慢性疾患がないか、尿たんぱくがでていないか、胃癌などにより出血していないか、などを検証する必要があります。
質問はメールで結構ですのでお寄せ下さいね。
lohas@jjclinic.jpまでお願いします。
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2010年06月27日
【アーユルヴェーダ】アーユルヴェーダにおける体質(プラクリティ)の概念10
ドクターディネーシュのアーユルヴェーダ解説、35回目です。
体質(プラクリティ)の概念10をお届けします。
ドーシャ(3つの体質)により、精神的体質(グナ)はサットヴァ、ラジャスそしてタマスとプラクリティの3つに決まってきます。ドーシャと異なり、グナは努力によってサットヴァを増やすことができます。
さて、ドーシャとグナは西洋医学とどのように関わっているのでしょうか?ひとつの研究内容をご紹介します。
3つのプラクリティそれぞれの特徴が際立つ健常な人々が選ばれ、末梢からの血液サンプルを使用して全ゲノムにおける発現レベルや生化学的・血液学的特徴を分析しました。
結果としては、生化学的・血液学的な検査値と全ゲノムにおける発現レベルで著しい違いがみられました。心血管系疾患に共通するリスクファクターであるトリグリセリド、総コレステロール値、VLDL、LDL、LDL/HDL比などのような脂質の成分は、ヴァータやピッタよりもカパで高かったのです。
そして血清のプロラクチン(乳汁分泌ホルモン)とプロトロンビン時間(血液凝固時間)はヴァータで高い一方、ヘモグロビン、PCV(ヘマトクリット値)、赤血球数はピッタが高かった。
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2010年06月27日
【栄養療法】アミノ酸について
今週はアミノ酸について勉強します。
読者のHさんから、トレーニング生活を始めてあった不調が、プロテイン摂取で改善したとのことです。まず、長距離を走っても飛蚊症にならなくなり、そして風邪を引かないようになり、肉の食べ放題に行きたい欲求が抑えられるようになったとのことです。なるほど!
方法としては運動前にアミノ酸サプリメントを摂取して、運動後にプロテインを摂取し、間食で空腹を避けるようにしたとのことです。これは実は深い内容を含んでいますよ。
アミノ酸は吸収されて30分でほとんどが肝臓に到達します。ところが、プロテインではアミノ酸に分解されるのに時間がかかるので、少しずつしか肝臓には到達しないのです。
ですから、トレーニング前にアミノ酸を摂取するというのはとても理にかなっています。もしトレーニングで傷んだ体を修復することを考えるならば、トレーニング後もアミノ酸摂取して、トレーニングとは関係のない食事のときにプロテインを摂取するというのは如何でしょうか?
本題と外れますが、間食で空腹を避けるとありました。これはとても有効な場合があります。それは食後数時間後に低血糖になり、食欲が異常に増す人の場合です。もしかするとHさんは「肉を食べたくなる衝動がある」と話しておられましたので、食後高血糖、食後4~5時間後に低血糖になっているのではないでしょうか?
この場合には、食事の最初に繊維質のものとプロテイン(あるいは肉類)を摂取して、糖質の吸収を抑えて食後高血糖を抑えていくという方法があります。実は私も食後に血糖がとても上がるので、プロテインの食前摂取をしています。間食する場合にも糖質過多にならないような配慮が必要です。
Hさん、メールありがとうございました。
質問はメールで結構ですのでお寄せ下さいね。
lohas@jjclinic.jpまでお願いします。
2010年06月19日
【アーユルヴェーダ】アーユルヴェーダにおける体質(プラクリティ)の概念9
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ドクターディネーシュのアーユルヴェーダ解説、34回目です。
体質(プラクリティ)の概念9をお届けします。
精神的性質はサットヴィカ、ラジャサそしてタマサ プラクリティの3つに
分けられます。
以下の解説はこのサイトからほとんど引用しました。
http://ayurvedic.cool.ne.jp/study/intro/about/guna/index.html
サットヴァとは知識の力を表します。信仰深く、愛情深く、慈悲深く、純粋
な心の持ち主です。真実や正義に従い、礼儀正しく、良い行いをします。精
神を使っているけれど疲れもなく、創造的で全ての生命や存在に敬意を払い
ます。バランスの取れた直観力と知性を持っています。
ラジャスとは動かす力を表します。野心的で攻撃的、自信家で競争心があり、
他人を支配する傾向を持っています。権力や名誉、地位を好み完璧主義です。
活動的で休めず、怒りや嫉妬が強く失敗を恐れ、成功に喜びを感じません。
自分の利益に関しては愛情があり忍耐強いです。内なる意識には正直でありま
せん。
タマスとは止める力です。知性に欠け、落ち込み、怠惰、睡眠に傾きがちで
す。少しの精神的活動でも疲れてしまいます。責任感の少ないことを好み、
独占欲、執着、イライラがあり、他人には無関心です。自分の利益のために
他人を傷つけることがあります。
ドーシャ(3つの体質)により、精神的体質(グナ)は決まってきます。し
かし、ドーシャと異なり、グナは努力によってサットヴァを増やすことがで
きます。意識してサットヴァの性質を実行したり、瞑想なども大切になって
くるようです。
それぞれのグナを増やす食事などもあるようですね。肉や魚はタマスを増や
すのですって。興味深いです。
http://www.jivajapan.jp/column/item_113.html
来週もお楽しみに!
★ アーユルヴェーダに関する質問を受付けます。lohas@jjclinic.jpまで。
(さらに…)
2010年06月19日
【栄養療法】溝口先生のご講演をみて感じたこと
今週はアミノ酸について勉強するはずでしたが、現在、新幹線の中ということもあり、十分な資料をもっておりませんので、また脱線します。
溝口先生の学会でのご講演は、「脳の栄養療法」というタイトルでした。まさに栄養療法が重要であろうという分野です。
いつものごとく、うつ病患者さんの症例紹介があり、検査データが数項目スクリーンに映りました。8項目程度ですが、たんぱく質とビタミンBの不足が見てとれます。サプリメントを飲んだら治った、というお決まりのコースの説明が続きました。
抗うつ剤しか手段のない先生方にはとてもショッキングな内容のはずです。討論でも「本当に検査データの読み方が深くて感心する」というコメントがありました。
でも会場はどこか冷ややかです。検査データ正常だから問題あるの??という空気も流れます。結局、会場の先生方は、頭では理解してもホンモノであるとは映らなかったのでしょうね。
保守的な社会の中で、栄養療法がどこまで広がっていくのか、ここからが難しいところです。
「一体、何グラム投与したのですか?」という質問もありました。
それぞれを機械的に正常値にもっていくのではなく、その人にとって一番良い値に持っていくという考え方が全く理解されていないので、少しがっかりしましたよ。
質問はメールで結構ですのでお寄せ下さいね。
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さて、来週こそはアミノ酸のことをお送りする予定です。
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2010年06月13日
【アーユルヴェーダ】アーユルヴェーダにおける体質(プラクリティ)の概念8
ドクターディネーシュのアーユルヴェーダ解説、33回目です。
体質(プラクリティ)の概念8をお届けします。
精神的性質はサットヴィカ、ラジャサそしてタマサ プラクリティの3つに分けたところで、それぞれの解説を、と思っておりましたが、今週は時間がありませんので先に進みます。
「プラクリティ と ゲノム」
これまでの説明から、アーユルヴェーダで述べられているプラクリティの概念は、包括的なゲノムの考えと共通していると思われる方もいらっしゃることでしょう。
近年、プラクリティとゲノムの関係を立証するために多くの研究が行われています。
<研究内容>
3つのプラクリティそれぞれの特徴が際立つ健常な人々が選ばれ、末梢からの血液サンプルを使用して全ゲノムにおける発現レベルや生化学的・血液学的特徴を分析しました。
(ドクターロハスのコメント)
近年、中医学で特に感じることですが、西洋的手法で解決しようとする傾向が強まっています。例えば、「○○病が△△漢方薬で治った」というようなことです。本当は○○病を治したのではなく、◇◇証(中医学の診断名)を治したに過ぎないのです。中医学としては当たり前のことです。
そういうものも切り口を全て西洋医学的にしようとする風潮があるので、このアーユルヴェーダもそうならないかとハラハラしつつ心配しているのです。アーユルヴェーダはアーユルヴェーダ独自の評価軸を持っていて良いと私は思いますがどんなものでしょう。
来週もお楽しみに!
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2010年06月13日
【栄養療法】たんぱく質の重要性3~トランスポーター
たんぱく質の重要性について考えてきました。酵素、ホルモン、免疫物質の材料になっているたんぱく質の機能面の重要性、筋肉や皮膚など構造面の重要性について説いてきました。
また、たんぱく質が足りているかどうかを見分ける血液検査の指標についても言及しました。
さて今週は、たんぱく質の機能面に関係しますが、トランスポーターについて少し詳しく見ていきましょう。
トランスポーターとは、物質運搬物質のことです。運び屋ですね。血液の中の様々な物質はそれぞれにたんぱく質に結合して移動し、必要なところでたんぱく質と分かれるという仕組みになっています。
例えばビタミンAが血液中で運ばれていくには、レチノール結合タンパクとトランスサイレチンというたんぱく質が必要です。鉄が運ばれて細胞内に取り込まれるにはトランスフェリンという糖たんぱく質が必要です。
ほとんどの物質にトランスポーターがそれぞれあるような状況ですので、たんぱく質の不足により、体の種々の機能が低下してしまうということは想像に難くありません。
いろんな薬剤もアルブミンに結合して体内を循環して効能を発揮します。ですので、アルブミンが不足している人が薬を投与されると効果が十分にでないことが考えられ、薬剤量が増えていくことになります。薬で思うような効果がでないときに、医師はあまりたんぱく質不足であるかどうか気に留めません。このことは覚えておきましょう。
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さて、来週はアミノ酸のことをお送りする予定です。
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2010年06月06日
【アーユルヴェーダ】アーユルヴェーダにおける体質(プラクリティ)の概念7
ドクターディネーシュのアーユルヴェーダ解説、32回目です。
体質(プラクリティ)の概念7をお届けします。
「精神的体質」について
精神的体質では好み、興味、気質、夢の性質について取り扱います。これもまたトリドーシャ(すなわちヴァータ、ピッタ、カパ)によって決定されますが、間接的に現れるものです。
精神的性質はサットヴィカ、ラジャサそしてタマサ プラクリティの3つに分けることができます。
この3つの精神的性質については来週以後に解説したいと思っています。
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2010年06月06日