一貫堂処方を少し応用してみようかな
すぐに扁桃腺が腫れて熱が出るお子さんが少なからずいらっしゃいます。慢性扁桃炎で何かをきっかけに熱がドーンとでる病気です。口の中のリンパ組織もいつもモコモコ腫れる傾向を持っています。
こういう状態の人をみると、何とか炎症を止めたいと思うのですが、いつまでも抗生物質を使うわけにもいきませんし、なかなか難しいものです。
ある時ふと、古典では腺病質の治療薬とされている柴胡清肝湯はどうだろうか?と思い至りました。古典では小児に対する処方として紹介されている処方です。
ちなみに腺病質は体格が悪く、貧血や湿疹などを起こしやすい病弱な小児の状態、と説明されています。一般に体質虚弱で神経質とのことです。
この処方は生薬構成から考えても、熱を抑える作用、血を補う作用が中心に作られていますが、さらに解毒のための生薬(牛蒡子、連翹)が加えられており、腺病質の人であれば、大人でも使える処方のように思われました。
一貫堂処方と呼ばれる体系の中では、腺病質の小児によくある上気道炎に広く応用されるのが柴胡清肝湯です。この体質の人には青年期は荊芥連翹湯、女性や泌尿器疾患には竜胆瀉肝湯を用いるとされています。
一貫堂処方の考え方は、どうして年齢ごとに分かれているのかが分かりにくい難しい体系ではありますが、少しずつ応用していきたいと思っています。
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2012年04月30日
お母さんも良いものを食べて下さい
最近、お子さんの診察をしていて、化学薬品の汚染を感じることが結構多くなりました。
鼻水がずっと続いているお子さんは、体質だからと諦めてしまうことも多かったのです。今までは睡眠不足を疑ったこともあるのですが、どうもピンときませんでした。みなさんではないでしょうけれど、食べ物に問題がある場合もあるのではないでしょうか?
近頃は食品売り場も皆さんの忙しい生活ぶりを反映して、惣菜の占める割合が増えています。きちんと作られた惣菜もあるのでしょうけれど、化学薬品を使っている場合も少なくないのではないかと思います。
あとは冷凍食品ですね。レンジだけで料理が完成するのですから、それなりの薬品が使われていると考えざるを得ません。コンビニ弁当の表示も見るとかなり色んなものが使われています。
鼻水がどうして?と思われるかもしれません。
化学物質は主に便、尿、汗から体外に排泄されます。これは未確認ではありますが、鼻水からも排泄されることがあると思うのです。もしもこれが正しければ、便、尿、汗から出しきれないほどに化学物質が体内に入ると、鼻水が沢山出ることになります。
証拠はどこにもありませんが、実感としてはかなり正しいつもりです。
先日、お子さんの食事はきちんと作っていて、化学物質は考えられないというお母さんがいらっしゃいました。ところがお母さん自身の食事が少しいい加減になることがあるそうで、授乳中ということもあり、それを修正していただくように指導してみました。どうなりますでしょうか。楽しみです。
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2012年04月22日
上品・中品・下品について
漢方薬を処方していると、どうしても気になることがあります。それは、生薬の性質です。とくに長期に連用しても問題ないものなのかどうかが気になります。
そこで、その指標となるのが上品(じょうほん)、中品(ちゅうほん)、下品(げほん)という考え方です。参考サイト
上品とは、長期に連用しても問題がなく、食品とほぼ同じ扱いでよい生薬です。このサイトでは、ハトムギ(ヨクイニン)、人参、甘草、ゴマなどが挙げられています。
上品といっても、甘草は大量に使用する場合には、電解質異常が生じる恐れがあるなど、一定の服用ルールは必要でしょう。
中品は上品よりも少し副作用の可能性がある生薬で、長期連用には注意が必要な生薬です。風邪によく使われている葛根湯の中には、中品が多いのです。葛根、麻黄、芍薬と3つも中品が含まれています。風邪のときには良いですが、肩こりで葛根湯を長期に連用されている方は注意が必要でしょう。
下品は作用が強く、毒性もそれなりにある薬です。西洋薬をこの分類にあてはめるなら、この下品に該当するでしょう。こういう生薬を用いるときには上品も絡めて作用は強く、副作用は弱くするように処方構成をしていることが通常です。
しっかり効果がある処方を長期に服用しても、副作用が出にくいのはこういう配合の妙があるからでしょうね。
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2012年04月15日
低温スチーミングについて
食材の汚染が気になる私は、生野菜も無農薬無肥料のものを選んで購入するようにしています。特に果物は火を通しにくいので、ナチュラルハーモニー から購入することもあります。
先日、低温スチーミングという方法があるのを知りました。
詳細は是非サイトをご覧いただきたいのですが、比較的易しい内容でしかも効果は多岐にわたります。この方法の長所だけサイトから転載しておきます。
1.熱による栄養分の破壊が少ない。
2.食材の細胞壁が破壊されず、食感が残る
3.エキスの流出が少なく旨みや糖度が増す
4.アクの生成が少なく、本来の香りが増す
5.酸化しにくく腐敗菌も殺菌されるため、食材が長持ちする
6.味が浸透しやすくなる
どれも重要なのかもしれませんが、栄養学的には1.が重要、食感が保たれるという意味では2.が、食材の質が気になるという意味では5.が重要と感じます。
この方法を使うと、食材の質をある程度気にせずに生野菜や果物を食べられるようになるのかな、と期待しています。
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2012年04月08日
花粉症と紛らわしい副鼻腔炎
東京では花粉症がようやくピークを過ぎ、これからはヒノキとかカモがヤの花粉症のある患者さんだけが薬を必要とする状況になってきました。
先週も書きましたが、今年の花粉症は花粉の飛散量を考えるととても症状がきついですね。これを花粉のせいにしてはいけません。自分の生活を整えることから始めましょう。
花粉症の鼻水、といえば、どういう鼻水が思い浮かぶでしょうか?
さらさらの透明な鼻水ですよね?
しかしこれからは勝手が違ってきます。濃い膿のような鼻水がでる場合でも花粉症を疑わなければなりません。
今までは逆だったのです。さらさらの鼻水でも、風邪をひいて症状がでている人がとても多く、風邪を花粉症と見間違えないようにと考えてきました。これからの季節は花粉症を副鼻腔炎(蓄膿)と見間違えないようにしなくてはなりません。
膿がでるというのは熱のたまっている体に生じる象徴的な出来事です。膿を体外に出すことで熱(と水)の平衡を保とうと体が反応しているわけです。
温性である花粉の波状攻撃が続いていましたから、体に少しずつ熱が溜まってきているはずです。しかも春の陽気になり、体が熱を生じやすい状況までできてしまっています。
厳格に花粉症と副鼻腔炎を分けるのは難しいのですが、どちらにしても熱を捨てる必要があるという観点から、あまり厳しい治療をしないで自力にある程度任せるということも必要なのかなと思ってみています。
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2012年04月01日
正しく歩くこと~イライラのツボ
最近、正しい姿勢で歩くように心がけています。
まず背筋が伸びた時に、任脈と督脈が流れ出すのが分かります。任脈と督脈というのは経絡、つまり多くのツボを結んだ線のこと、ですが、この経絡は生まれたときだけ開いていて、大人になるに従って閉じてしまいます。
この経絡を開くと気に敏感になってきます。気功でもまず、この経絡を開くことが重要なテーマです。
感じとしては、頭に涼しい風が吹く感じだったり、呼吸が楽になり森にいるように感じられたりします。
実は任脈、督脈には重要なツボがたくさんあります。ですから、この体の正中を活性化することで、健康により近づけると思います。
例を挙げますと、イライラしたときに鍼師はどこに鍼を打つでしょう?
答えは一つではありませんが、任脈の上の壇中というところに鍼を打ちます。この壇中はヨーガではアナハタチャクラと呼ばれる感情のチャクラとして知られている場所です。学問は異なっても体の構造は同じなのだな、とあたりまえのことに驚かされます。
そしておまけに、イライラのツボをもう少し挙げると、まず神門ですね。手の小指のところにどうして神様の門があるのか不思議です。心経は心の問題と大きく関わっています。
そして肝経にはストレスを処理する働きがありますから、刺激しておきたいところです。そこで、太衝というツボを考えてみます。
太衝は肝経の原穴(げんけつ;中心となるツボ)ですので、ストレスから生じるめまいの治療にも使えるということに、初めて気づきました。
余談から話がどんどん逸れますが、おしまい。
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2012年03月25日
妊婦さんたちの診察について
最近、妊婦さんの診察をする機会が多くなりました。
実はBe bornという助産院の先生から、妊娠中、出産後の管理を依頼されることが増えてきたからです。
この助産院では各種教室もあるようですので、妊娠している方たちには心強いですね。
私も中医学と西洋医学と気功を合わせたような診療をしていますので、このBe born助産院の考え方とはかなり近いと感じています。
ここから依頼される内容は多彩で、妊娠中の様々な愁訴や、産後の体調維持などが中心です。私もかなり脳を鍛えられます。漢方薬をいくら使えると言っても妊婦への処方に慣れているわけではありませんでしたので、相当に頭を使い、処方しています。
面白いのは、この助産院から紹介されて来られた患者さんは皆、気の感覚が敏感なことです。ご本人たちは気の感覚を持っているとは感じていないので、やはり自分の身体をウォッチする意識が高いのだろうと思います。
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2012年03月18日
耳鳴りの治療には東洋医学的視点も入れて
若い男性の患者さんが耳鳴りで来院されました。
耳鳴りは難聴が原因のことが少なくないので、治りやすい難聴の場合には、難聴を治療することで耳鳴りが解決します。
でも、治療が難しい難聴も存在するので、その場合には耳鳴りを治療することはかなり難しくなります。耳鼻科でも治療に難渋していることが少なくありません。
今回の患者さんは難聴がありません。ところが面白い症状がありました。耳の前、少し下を押すとその耳鳴りがボワンと鳴るというのです。
これは西洋医学では全くお手上げの症状です。しかし東洋医学的には考える余地がありそうです。
このボワンと鳴る場所はどうも聴会(ちょうえ)というツボのようです。
聴会は胆経のツボで、ストレスと関連していると考えられます。ストレスがどのくらいあるのかを問診したり、ストレスがあるときに生じる脈の緊張を確認しなかったのが残念ですが、若い男性だし、仕事のストレスなどあるのだろうと推測します。
耳の前には3つのツボがあり(耳門、聴宮、聴会)、難聴を改善させることで耳鳴りを治していこうとするもののようです。
耳鳴りの治療にはこういう東洋医学的観点も必要でしょうね。
治療の難しい分野であり、まだまだ研究が必要だと思いました。
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2012年03月11日
野菜ばかり食べていて皮下出血する人
どうして皮下出血するのでしょうか?と外来中に尋ねられたことがあります。
耳鼻科の外来ですし、なかなか頭が中医学に切り替わらないと「うーん?」と考え込んでしまうわけです。
よく分からないので、食事の内容について尋ねました。すると、やや高齢の方ということもあり、しつこいものはどうも食べられないので、野菜ばかり食べているとのことでした。
何となく皮下出血の原因が見えてきました。
血管も細胞が多数集まってできています。細胞には膜があり、その膜は脂質からできています。油分を摂取しない生活を続けていることで、脆弱な膜になっていることが予想されます。
脂肪には抗酸化作用もありますし、ホルモンの材料にもなります。重要な栄養素であるという認識も必要です。脂肪分を食べないと脳出血になりやすい傾向もあるようです(新聞記事から。未確認)。
それとたんぱく質摂取量も少ないのだと思います。きんさんぎんさんが以前にテレビを賑わせていましたが、彼女たちは肉をよく食べるということでした。過剰な肉の摂取が良いとも思いませんが、ある程度の摂取は必要でしょう。
高齢者はあっさりしたものを好む傾向がありますが、たんぱく質や脂質にも配慮して、バランス良く摂取するのが良いかも知れません。
細胞膜は油分からできているということを話しましたが、つまり酸化されやすいという側面を持っています。古い油の食事なども避けた方が良いと思います。そういう意味でビタミンCとビタミンEの摂取は有効だと思います。
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2012年03月04日
余計な処方はしない方が良い?
もう20年近く前のことになりますが、私が研修医のときに、ある先輩医師が言いました。
何を処方したら良いのか、どうしてもよく分からない場合には、その病気の治療の邪魔にならないように、しかも副作用のないものを処方しておいて、経過をみるように、と教えられました。
炎症があるときには去痰剤などを、耳鳴りやめまいが残っているときには、ビタミン剤を、といった具合です。
どこでもそういう医学(医学ではありませんね、医療というべきか)教育が行われているのかどうかは分かりませんので、念のため。
一見良い感じではあるのですが、最近、化学物質汚染による症状を多数見ていると、薬にも添加物が入っていることは意識しなければならないと思うのです。
薬能はマイルドな薬で副作用がなさそうでも、添加物の害まで考えると、余計に処方するのはどんなものかと考えてしまうわけです。
「氣」を使って、そういう一見害のなさそうな薬が体になじむかを確認すると、やはり添加物を多数使っている薬は、必要な時以外には避けた方が良さそうです。
2012年02月26日