食べ過ぎの治療?について
注)脘=月へんに完
「てんじんさん」という鍼師のまんがを読んでいてナルホドと思ったことなのですが、子供が「イタイイタイ」と腹痛を訴えたときに、てんじんさんはツボである中脘、足三里、という二つの場所を刺激して治していました。
やったことがないのでそんなに速効性があるのか分かりませんが、興味が湧いたので「日本人が書いた中医鍼灸実践マニュアル 上巻」で調べてみました。
中医学では「胃脘食滞」という状態のようです。このときには舌の苔が厚くなります。そして「中脘と足三里をもちいて通降胃気、消積導滞により食滞を解消する」
つまり、胃気は降ろさないといけないものなので、それをこれらのツボを用いて通して詰まりを除いて降ろす、そのことにより食事の詰まりが解消するという意味です。
漫画も相当調べて書かれているなあ、と妙に感心しました。
ところで、中脘というツボですが、私もかなり使います。
どういうときに使うかというと、冷飲食をしたときに胃の動きが止まった感じがするときがあります。そのときにこのツボを温めるのです。10分位手を当てて温めていると、やがて胃が動き出すのが分かります。
私は、水で胃が冷えてエネルギーが循環しなくなったのを、中脘からエネルギーを入れることで修正していると考えていますが、食事が沢山入ってきたときにもエネルギーが足りない、あるいは循環を食事に妨害されるということは予想できます。このときに中脘穴を用いるのは、私の経験とも合っています。
足三里は足陽明胃経に属するので、胃の働きを整えるのだと思いますが、体感としては経験がないので、何かの折に効果を確認してみたいと思いました。
それにしても食べ過ぎにも治療方法があるのは、中医学らしいです。漢方薬でも食べ過ぎ用のものがありますしね。
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2012年03月04日
インフルエンザの漢方治療について
気候がだんだん温かくなるにつれて、インフルエンザはまだ勢いがあるとはいえ、少しずつ収束の方向が見えてきました。
そんな中で、インフルエンザの治療に麻黄湯が持てはやされていますね。
麻黄湯は確かに、インフルエンザのような強い邪気を払うのに有効な処方です。しかし体内の全ての気を動員して邪気の攻撃を防ぐので、だんだん自分の体の守りがおろそかになっていきます。サッカーでキーパーも攻撃にでていくようなイメージですね。
ここでよく考えてみて下さい
インフルエンザウイルスが減少してきたときに、咽頭炎がひどくなったり、引き続いて生じる副鼻腔炎や気管支炎がひどくなったときに、体を守る免役力が残っているのでしょうか?
上手く邪気が払われて、症状が治まった時には良いのです。そういうことが多いでしょう。しかしそうならなかったときに、もう少し体を守りながら注意深く攻めるべきだったと後悔しないかと心配になります。
そこで私は葛根湯を使うことをお勧めします。診察の中でも私は葛根湯を中心に使います。麻黄湯よりもいくらか守りの内容が含まれていることと、葛根はコリを取ってくれるので、インフルエンザのときのこわばりに効果的だからです。
葛根湯は効果を高めるために、お湯で飲むようにしましょう。
2012年02月26日
血虚への対応について
血虚は「けっきょ」と読みます。血が足りない状態を指しますので、貧血のようなものと考えればよいですが、髪が細かったり、皮膚が青白かったり、爪の形がゆがんだりと、体の隅々まで栄養が行きとどかない状態を指します。
中医学的にはそれぞれの臓器に血虚があるわけですが、最近注意して見ていると、心の血虚の人で動悸がする、という人が結構多いことに驚かされます。
私ごとですが、約20年前の卒業試験の時に、過労で初めて動悸を経験して、近所の内科の先生に安定剤を始めてもらったということがありましたが、あれも今考えると心血虚であったのだと思わされます。
ところで、
「心は血を生じ、脾は血を統べ、肝は血を蔵す」という言葉があります。血の元は心にあり、血の順調な運行には脾が必要で、血を蓄えるのは肝である、ということなのです。
不思議なのは、疲れによって血が消耗したときに、心血虚の主症状である動悸はとてもよく見られるのに、肝血虚の主な症状であるめまい、顔面蒼白、疲れ目、爪や唇の色が悪いなどの症状は全てではないのですが、割と慢性的な印象を受けます。
疲れたときにどういう風に血が使われていくのでしょうか?
人から聞いた話ではありますが、普段は心血を使っていて、肝が蔵している血は使われないのだそうです。そして慢性的な疲労などで、血が足りない状態が続くと、心血だけでは血を賄いきれず、肝に蔵している血も動員することになるのだそうです。
確認は取れていませんが、これはとても説得力のある考えだと思いました。
みなさん、疲れて動悸がするようでしたら、少しお休み下さいね。
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2012年02月19日
そばの効用について
そばを食べていてふと考えました。
「そばってどんな作用があるのかしら・・?」
ついついそのように考えてしまいます。
そばは調べてみると面白くて、部位によって効用が異なります。
そばの実は胃腸を整えて、食欲を回復させたり、便通を良くしたりします。
そばの花は貧血の治療に使うのだそうです。
そばの葉は止血の効果があり、出血とか、脳卒中の予防に良いのだそうです。
そばの茎は美肌の効果があるそうです。
そばの皮はまくらの芯に使います。
多彩な作用には驚いてしまいます。
さて、栄養学的にはどんな特徴があるのでしょうか?
このサイトを参考にしています。
そばは、たんぱく質やビタミンBが多く含まれるのだそうです。最近の食卓では、たんぱく質やビタミンBが不足しがちになるので、こういう食材の存在はとてもありがたいです。
サイトによれば、特に必須アミノ酸が多く、成長期の子供に適した食べ物なのだそうです。
一応、小児や老人、あとは気血両虚(栄養状態の悪い人)の人はあまり食べ過ぎないようにと書かれていました。ご注意を!
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2012年02月12日
立禅と体のエネルギーについて
立禅を久しぶりにしました。本当は久しぶりではダメなのですがー(笑)。
今までは、気功のエネルギーは増すけれどシンドイだけ、という印象だったので、あまり続かなかったというのが本当のところです。
大腿部がへたってできなくなりますので、大腿部の筋肉の力をできるだけ抜いてエネルギーが行き来するようなイメージをもつと、多少時間が延ばせます。
今日はいつもの気功メニューに少しヨーガの内容を入れて、体を十分に動かしてから立禅をしました。ヒマ?そうかもしれませんね(笑)。
すると、力を抜くほどにスシュムナが通るような感じがしました。
禅とか武道とか、みんなそうなのかもしれませんけれど、力を抜いて姿勢を委ねないと本質が見えてこないということは、本で読む限りですがありそうなことです。
今日は体を動かしてから立禅をしたせいか、体の力を抜いて立つことができ、少しの時間でしたが、体の中をエネルギーが貫通するような感覚がもてました。これは良い気分です。これなら時間さえあれば続けられそうです。
追記;
「通った感じがした。」
と書きましたが、実際には通したら通った感じがした、というのが正しいかもしれません。意識の上でエネルギーが上から下へ、下から上へ流れていることをイメージしながらやっています。
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2011年07月03日
私の取り入れている気功~阿吽気功法
私が今年取り入れている修行?の中に阿吽気功法というものがあります。私はこんな感じに自分で「あー」とか「いー」とか言いながら、気功をやっています。ちなみにこれは夜にやっていることです。
どんな効果があるのか?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんけれど、体の中と外の間のエネルギーの動きがスムーズになるように感じます。
ただこういうものは現実にやってみないと何も分かりませんし、やってもすぐには何も分かりません。経験上、あるとき急に「ああ、こんな感じか」と分かるようになるはずなのですが、私もまだ始めたところですし、実感はまだありません。半年は毎日続けるつもりです。
さて、これに関連してこういう本があります。
あいうえお言霊修行
矢山利彦(著)、ビジネス社、2008/03
ありがたい、いつくしむ・・と「あいうえお」のつく言葉を唱えるようにすると、自分のネガティビティが無くなっていく、というものです。
でも阿吽気功法から考えるに、恐らく単に「あいうえお」と唱えることで、自分がよくなっていけるのだと思います。この点からも日本語は本当によくできていますし、素晴らしいものだと感じます。
病気になる人には「がぎぐげご」が多いとのことです。「がんこ」だと思ったら「がんばり」だそうで、あとは「義理」「ぐち」「原則」「ごまかす」だそうです。みなさんは大丈夫ですか??「がんばり」の人は多いかもしれません。
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2011年04月17日
花粉症~目症状への対応策
みなさん地震に目を奪われていますが、花粉症もピークを迎え、クリニック内もかなり混乱しています。
はなこさんで花粉飛散の様子を見ますと、今年は完全に東高西低になっています。関東地方はピークを過ぎ、これから北陸、東北地方で飛散が多くなると考えられます。
さて、診察をしていますと、目の痒みを何とかして欲しい、という訴えをとても多く耳にします。どの医師でも対応できるような簡単な解決策がないものかと思い、いろいろ見ておりましたが茵蔯蒿湯(いんちんこうとう)という漢方薬がかなり効果的に目の痒みの波動を抑えてくれます。
茵蔯蒿湯の効果があるとして、目の痒みの病態をどう考えたらよいでしょう?
- 通常は病態が分かっていて処方を選択するのですが、私は効果が出る処方をみて、病態を再検討するということをいつも考えています。 –
茵蔯蒿湯は口内炎、じんま疹、皮膚瘙痒症、血清肝炎、流行性肝炎、カタル性黄疸、腎炎、脚気に効果を示す漢方薬です。特に黄疸を抑える力が強い処方です。
肝胆湿熱といって、ストレスなどによって熱が生じ水と結びついて症状を示す場合に用いられます。山梔子(さんしし;くちなし)が湿熱邪を尿から、大黄が湿熱邪を便から排泄します。
以上のことから花粉症の目症状に関して考察すると、ストレスが多い社会の中で、生じた熱が涙と結びついて肝胆湿熱証が生じて目の症状を呈するのではないかと思います。
であるなら、睡眠を十分に取る、入浴などでリラックスする時間を増やす、足の冷えを除く、散歩などで日頃から下半身を鍛えるなどのことが有効であろうと考えます。
今後、臨床的にどのくらい効果があるのか見守っていこうと思っています。
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2011年03月20日
養生法について思うこと~「静」の養生法の重要性
先日、中医学の講義で思うところがあり、書いています。
古今東西に養生法がたくさんありますが、大きく分類すると「静」と「動」に分かれます。
「静」の養生法としては、欲望を抑える少欲、無理に知ろうとしない抑目、無理に聞かない静耳、心を鎮める静心、精神を安定させる呼吸法である静功が挙げられます。
「動」の養生法としては、運動、舞踊、散歩、呼吸と運動を結合した導引、按摩、動功が挙げられます。
さて世は情報社会であり、情報をたくさん持っている人が凄い、というような世の中になってきました。
しかしメディアから流れてくる情報には「静」の養生法に関することは、全くといってよいほど述べられません。何故ならメディアから情報を得るということ自体が「静」の養生法と矛盾するからです。
みなさんが健康になろうとして行うことは皆、「動」の養生法に関することではないかと思います。私も意識していないとついついそちらに流れてしまいます。
しかし本当は、「静」と「動」の養生法をバランスよく行う事が大切なのではないかと最近思うのです。
このメルマガも少しおとなしく書こうかな・・?(笑)
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2011年02月26日
【集会報告】鍼治療の講習から4~頭痛対策の経穴
鍼と経穴に関する知識を増やすためのコーナーです。
兪穴が経気の循環に最も有効な経穴であること、先週は手少陰心経の原穴である神門について学びました。
今日は何にしましょうか。頭痛に関して考えてみましょう。
頭痛の特効穴は天柱(てんちゅう)、頭維(ずい)、下関(げかん)です。天柱は頸部両側の髪の生え際で足太陽膀胱経、頭維と下関は足陽明胃経で、頭維は額の上角で髪の生え際、下関は頭維の下方で頬骨下縁にあたります。
天柱は頭部を支える柱、という意味があるそうです。清頭散風(頭をすっきりさせて、風邪を散らす)の働きがあり、頭痛、鼻閉、のどの痛み、頸部のこわばり、肩甲骨付近の痛みを除く働きがあります。
頭維の「維」の字は角の意味で、まさに額の角を表します。清頭明目の作用があります。迎風流泪を主治とするとのことで、花粉症の目症状に効果があるかもしれませんね。
下関の「関」は扉の開閉に関わる部分で、下顎骨を動かす部分でもあるので、下関と名づけられているそうです。歯痛、顔面の痛み、耳聾、耳鳴などにも効果があるようです。
どの経穴も耳鼻科でも使えそうですね。
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2011年01月30日
【集会報告】鍼治療の講習から3 ~ 心経の兪穴=神門
先週から鍼と経穴に関する知識を増やそうと勉強を再開しています。
兪穴が、五臓の治療に使用すべき基本穴であること、経気の循環に最も有効に作用する経穴であることを学びました。
今日の私は、メルマガを書いているためかどうか分かりませんが、肝が強くなっています。ストレス?(笑)
そこで、「実証では子を瀉す(力があり過ぎる場合には子のエネルギーを削ぐ)」という原則に基づいて、肝の子である心を瀉すことにしました。兪穴は神門です。神様の門ということでしょうか?
早速、円皮鍼を刺してみました。確かに少し体が楽になります。大きな変化というわけではありません。
今日は決して易しい本とは言えない(笑)『まんが経穴入門』(医道の日本社)から引用してみます。
手少陰心経の原穴で、精神、思惟活動の神を指し、門は出入り口を指す。つまり神が出入りする門であり、寧心安神(心が休まること)の作用があるそうです。
イライラ、不眠、健忘、心痛などに効果があるそうです。置鍼するとスッキリするということは、もしかしてイライラしていたのかな?
手少陰心経には「青霊」「霊道」のような興味深い名称の経穴もあります。このあたりは、また機会をみて説明しますね。
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2011年01月23日