【栄養療法】ビタミンAについて4~カロテノイド

 先週までビタミンAの摂取はレチノールであれば危険とは言えず過剰症の可能性は少ないこと。働きとしては、上皮と粘膜の維持、視覚の維持、抗腫瘍効果ついてお話しましました。

 今週はカロテノイドなどについてお話します(Wikipediaを参照しています)。

 カロテノイドと言えば、βカロテンが有名です。必要時には2分子に分かれ、ビタミンAになるので、βカロテンはプロビタミンAと呼ばれます。ニンジン、カボチャ、小松菜、紫蘇、ほうれん草などに多く含まれます。

 βカロテンの仲間としてはリコペンが挙げられます。リコペンはβカロテンよりも抗酸化作用が強いこと、種々のがんや胃潰瘍などにも効果が確認されています。トマト、スイカ、柿などに含まれています。

 炭素と水素だけでできているカルテノイドをカロテン類(βカロテンとリコペン)、その他のものを含んでいるものをキサントフィル類と呼びます。キサントフィル類の代表はルテインです。ルテインは必要に応じゼアキサンチンという成分に変わります。

 ルテインは水晶体や網膜(特に黄斑部)、乳房などに多く存在します。網膜を酸化から守る働きが特に注目されていて、ルテインの減少は白内障、加齢性黄斑変性症の原因になるとも言われています。

 加齢性黄斑変性症は先進国の失明原因の第一位だそうです。光由来の活性酸素が多くなっているからではないかと言われています。

 ルテインが多く含まれるのは、ほうれん草、ブロッコリー、キャベツ、豆類、卵黄であり、ゼアキサンチンが多く含まれるのは卵黄、とうもろこしの種だそうです。

 他にも鮭、いくら、かに、海老に含まれるアスタキサンチン、温州みかんに含まれるクリプトキサンチンなどのキサントフィル類が注目されています。

 来週はビタミンEについてお話します。

2010年04月24日

【栄養療法】ビタミンAについて3

 先週までビタミンAの摂取はレチノールであれば危険とは言えず過剰症の可能性は少ないこと。働きとしては、上皮と粘膜の維持、視覚の維持があることをお話しました。

 さて、今週はビタミンAの抗腫瘍効果ついてお話します。

 がん細胞は細胞分裂が無制限に生じてしまうために、体の調和を乱してしまう病気と言えます。

 また、がん細胞は常に少しずつ体の中に生じていますが、免疫によって排除されているのです。

 ビタミンAはがん細胞の異常な細胞分裂を正常化させる働きがあり、さらに、そのように異常を来たした細胞を死に追い込むことで生体の調和を維持する働きがあるのです。

 がんに対して何らかの有効性が認められているものを挙げてみます。

 急性前骨髄性白血病、皮膚がん、乳がん、肝がん

 また、前がん状態にも有効とされています。紫外線角化症、色素性乾皮症などです。

 ではそのようなビタミンAが十分に足りているのかどうか、これを血液検査で知るための指標は何か?ということになります。

 ビタミンAは細胞核内で働き、核酸代謝に大きく関わっています。ビタミンAが存在することで核酸の代謝が正常に行われ、その結果として生じる尿酸はビタミンAが存在している一つの指標になります。

 尿酸は痛風の原因であり、少なければより良いと考えられがちですが、値としては5mg/dl前後が良いようです。3.5mg/dlくらいになってきますと、ビタミンAが体内で十分に働いていない可能性を考える必要があるようです。

 来週はカロチノイドなどについてお話します。

2010年04月18日

【栄養療法】ビタミンAについて2

 先週はビタミンAの摂取は危険ではないこと、特にレチノールを摂取していれば、レチナールとの間で酸化還元反応が生じたり、貯蔵型のレチニルエステルになることで、過剰症はかなり生じにくいであろうことをお話しました。

 さて、今週はビタミンAの作用と欠乏症状についてお話します。

 ■上皮と粘膜の維持、生殖機能の維持

 ビタミンAは遺伝子に深く関わり、細胞増殖や分化に大きく関与しています。特に上皮の形態維持をつかさどるので、ビタミンAが不足すると正常の角化が起こらず、アトピーやにきび、イボやウオノメができやすくなります。

 ビタミンAの不足により粘膜上皮の機能が低下すると、眼球乾燥症、感染防御力の低下(つまり風邪をひきやすくなる)、腸の吸収能力の低下、生殖機能(精子や胎盤の形成)の低下などが生じてきます。

 ちなみに精子の形成には、先日お話した亜鉛とビタミンAが必要なのであり、気道防御に重要な気道粘液形成のためには、ビタミンAとグルタミンが重要です。花粉症対策でもビタミンAは活躍しそうです。

 ■視覚作用

 ビタミンAはロドプシンという網膜の暗順応(暗い所で光に敏感になる働き)に重要な物質の材料になります。ビタミンAが少ないと暗順応低下により生じる夜盲症や眼精疲労を生じます。

 参考までに、視力に関して重要な他の物質としては、ロドプシンの材料になるたんぱく質、ビタミンAの血中濃度を上げる亜鉛、ロドプシンを再合成するアントシアサイド(ビルベリーに多く含まれる)が挙げられます。

 後進国のビタミンA不足は深刻なだそうで、眼球乾燥症と妊娠夜盲症が問題なのだそうです。

 来週も続きます。

2010年04月11日

【アーユルヴェーダ】 第25回 ~ 肌の若返り(まとめ)

 ドクターディネーシュのアーユルヴェーダ解説、25回目です。
 肌の若返りについて、16回目、肌に関してまとめます。

 アーユルヴェーダにおける肌とは、ということで、シワの予防・肌荒れ・ニキビ(尋常性�養瘡)について解説しました。そして、皮膚病、中でも乾癬、湿疹、ふけ症について詳説しました。

 これらの症状は、アーユルヴェーダで治療可能なものの中のほんの一例に過ぎません。私たちは治療よりもむしろ病気の予防の大切さを強調しています。

 アーユルヴェーダは人間の健康における予防的な面を助長する学問なのです。アーユルヴェーダの予防的側面ついては、インド国内だけではなく海外でも広範囲な研究が進められています。

 必ずや近い将来、アーユルヴェーダを通じて人々は、肌の健康を維持することはもちろん皮膚病の治療に関する新しい展望を手にすることができるでしょう。

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2010年04月10日

【栄養療法】ビタミンAについて1

 冒頭にも述べましたが、ビタミンBとCは水溶性なので、過剰な分は体外に排出されて問題なく、ビタミンAとEは脂溶性は過剰摂取が問題であるとされています。

 そうかもしれません(笑)。

 でも、肝臓の中には星細胞と呼ばれる細胞があり、ビタミンAの血液中の濃度をコントロールしているそうです。

 だからレバーとかうなぎ、ニンジンを食べ過ぎて異常が出た、という人がいないのかもしれません。

 ビタミンAには、レチノール、レチナール、レチノイン酸という3つの形があります。レチノールとレチナールには相互に量の調節が行われます。しかし、レチナールからレチノイン酸になると、元には戻りません。

 ですから、合成されたレチノイン酸を投与することは安全とは言えず、妊娠時のトラブルも報告されているようです

 一方、魚油に含まれているビタミンAはレチノールであり、レチノールが細胞内で貯蔵されるときにはレチニルエステルになります。この貯蔵型には生理活性はないため、たくさん貯蔵されても危険はないように思えます。(wikipediaの「ビタミンA」の項目も参照しました)

 私に栄養を教えてくれる定先生も妊娠時にビタミンAは大切と話しておられました。
 

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2010年04月04日

【アーユルヴェーダ】 第25回 ~ 肌の若返りについて16

 ドクターディネーシュのアーユルヴェーダ解説、25回目です。肌の若返りについて、16回目、今日は「ふけ症」についてです。

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 慢性であってもよほど頑固なものでなければ、ふけ症はシンプルなハーブオイルの塗布とハーブ薬の内服により容易に治療できます。

 Wrightia Tinctoriaは私が治療に使用し、効果をあげている主要な薬です。ふけ症は乾癬の前兆である場合もあります。その際には先に述べた乾癬の治療が必要になります。
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 私が独自にWrightia Tinctoria (Pala Indigo Plant)について調べてみました。

 葉はおたふく風邪やヘルペスのときに湿布として使われ、歯痛を止める効果
 もあります。民間医療では根をパウダーにして妊娠の力を高めるのに使われ
 ているそうです。種は乾癬や各種皮膚炎に有効で、抗炎症、抗ふけ物質のヘ
 アオイルとして用いられているとのことです。
 参考サイト1 サイト2
  
 葉はヴァータのいろんな状態や高血圧に有効性があるそうです。種は収斂性、解熱、駆風(急な疾病を収めること)、駆虫の性質があり、ピッタやカパの状態または消化不良に効果があるとのことです。
 参考サイト3

 葉と種で性質が全く異なるのですね。皮膚病には種が有効なようですが、体質(ヴァータ、ピッタ、カパ)についても少し考える必要がありそうです。

 来週もお楽しみに!

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2010年04月04日

【栄養療法】カルシウムについて3

 先週はカルシウムイオン濃度のコントロールとか、カルシウムパラドックスなど、難しい内容でしたね。

 今日はカルシウムの関連する病気、そしてカルシウム摂取に有効な食材をご紹介していきたいと思います。

 カルシウムで思い起こされるのは骨そしょう症だと思います。カルシウ摂取不足はもちろんですが、運動不足による骨負荷の減少、日光暴露時間減少によるビタミンD活性化不足、ストレスや喫煙やアルコールも原因になるようですね。

 高血圧にカルシウム摂取が良いということはご存知でしょうか?

 カルシウムとマグネシウムを十分に摂取すると、副甲状腺ホルモンの値が下がり、カルシウムイオンが細胞内に入りにくくなります。血管平滑筋細胞内のカルシウムイオン濃度が下がり、血管の収縮が抑えられ、血圧が下がります。ナトリウムイオンがカルシウムイオンの代わりに尿中に排泄されるので、これも血圧が下がる要因になります。

 以前に書きましたが、糖尿病の患者さんはカルシウムが尿中にどんどん排泄されてしまいますので、カルシウムの摂取は重要です。糖尿病食になると、さらにカルシウム摂取が減少する可能性がありますので注意が必要です。

 リウマチ患者さんは、骨病変により副甲状腺ホルモンが過剰になっている可能性があり、骨吸収(骨が溶けだす)が亢進する可能性があり、カルシウム摂取は不可欠と言えます。

 癌性疼痛も同様かもしれませんね。骨に転移があり痛みが出る場合などは、カルシウム投与が有効であると考える人もあるようです。

 カルシウム摂取に重要な野菜はキャベツ、人参、セロリ、鞘いんげん、わさび、玉ねぎ、パセリ、ホウレンソウ。果物はラズベリー、キウイ、イチジク。その他にアーモンド、豆腐、ごま、海藻、干しエビ、煮干し。

 同時にヒジキ、ナッツ類、大豆などからマグネシウムを摂取しましょう。

2010年03月28日

【アーユルヴェーダ】 第24回 ~ 肌の若返りについて15

 ドクターディネーシュのアーユルヴェーダ解説、24回目です。
 肌の若返りについて、15回目、湿疹のハーブ煎薬についてです。
 主に使われるハーブは以下の通りです。

 Acacia catechu(CutchTree, Khadira )ペグノキ ペグ阿仙薬
 ixora species サンタンカ(イソクラ)属の仲間
 santalum album (Sandal Tree, Chandana)サンダルウッド
 picrorhiza kurroa 胡黄連

 先週のサンタンカ(イクソラ)属の仲間は、皮膚病だけでなく、その抗酸化作用からか、癌にも効果があると考えられていました。

 サンダルウッドは、234号に既出ですが、皮膚に対しては乾燥肌、皮膚の荒れかゆみ、炎症に効果があります。これはピッタ、すなわち「火」が旺盛な状態を鎮める性質がサンダルウッドにあるからです。

 今日は胡黄連です。このサイトを参考にさせていただいています。

 性質は黄連に似ているようですね。心経の実熱、肝火の痛みに効果があるとされています。つまり興奮しきって卒倒するような人に効果があります。

 どちらかというと体の強い人に向いていて、脈が細い人には不向きのようです。また、舌は赤く、舌苔は黄色味を帯びている人に適するとされています。

 皮膚に対する作用は特別にはかかれていませんが、皮膚が赤みを帯びている人に有効であると思います。また抗酸化作用もあるとのことですので、この作用を介して皮膚に働くこともあるのではないかと思います。

 子供のアトピー性皮膚炎とか、大人ではストレス性の湿疹に効果がありそうですね。

 来週もお楽しみに!

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2010年03月28日

【栄養療法】カルシウムについて2

 血液中のカルシウムイオン濃度は厳格にコントロールされています。

 カルシウムイオン濃度を調節するホルモンは、副甲状腺ホルモン(骨吸収促進と腎カルシウム再吸収促進)、活性タミンD3(腸管カルシウム吸収促進)、カルシトニン(腎カルシウム排泄促進)で、調節臓器は、骨、腎、腸管です。

 血中カルシウムイオン濃度が下がると副甲状腺ホルモン分泌とビタミンD3活性化が促進され、カルシトニンが抑制されます。濃度が上がると逆の反応が起こります。

 血中カルシウムイオン濃度が減少すると、副甲状腺ホルモンの働きにより、骨からカルシウムイオンが供給されますが、各細胞内にカルシウムを取りこむ働きも促進してしまいます(カルシウムパラドックス)。

 どういう意味があるかというと、結石ができてしまったときに、カルシウム摂取を抑えようと思うかもしれませんが、抑えるとさらにカルシウムが細胞内に取り込まれてしまい、結石ができやすくなることを意味しています。

 カルシウムイオンは細胞にとっては毒なので、カルシウムイオンが細胞内にどんどん入るのは良くないことです。カルシウムがしっかり摂取されていることで、細胞内カルシウムイオン濃度を低濃度に維持することができます。

 細胞内へのカルシウムイオンの流入は、癌の原因になったり、細胞死の原因になりますが、その原因になるのは細胞膜の傷害であることが多いようです。膜の抗酸化作用を持つビタミンEの作用が重要になってきます。

 少し理屈っぽいですが、来週も続けてみます。

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2010年03月21日

【アーユルヴェーダ】 第23回 ~ 肌の若返りについて14

 ドクターディネーシュのアーユルヴェーダ解説、23回目です。
 肌の若返りについて、14回目、湿疹のハーブ煎薬についてです。
 主に使われるハーブは以下の通りです。

 Acacia catechu(CutchTree, Khadira )ペグノキ ペグ阿仙薬
 ixora species サンタンカ(イクソラ)属の仲間
 santalum album (Sandal Tree, Chandana)サンダルウッド
 picrorhiza kuroa 胡黄連

 2.ixora species サンタンカ(イクソラ)属の仲間

 植物の根、茎、葉のいずれも有用性があり、皮膚病、腹痛、下痢、潰瘍、外傷などに用いられます。潰瘍に効果があるので癌にも効果があると考えられています
 
 しかし、Ixora crocineaに関しては十分な情報がないと論文の総説に記載があります。Ixora undulataはある種の白血病に効果があるようです。

 Ixora brachiata RoxbというIxora属の植物(この植物は赤くないです)については、抗酸化作用と、ブドウ球菌の増殖抑制作用が実験的に認められています

 次週以後にコメントしますが、ふけの治療や、蛇にかまれた時のような皮膚病にも使われているようです。

 辞書によると、植物自体には潰瘍と浮腫(と癌)に効果があり、葉には細菌や真菌によい効果があるとのことです。抗酸化作用もありますし、重金属の解毒作用もあるようです。皮膚に良い作用が目立ちますね。湿疹にもこのようにして効果があるのでしょう。

 余談ですが、アーユルヴェーダの情報は英語サイトには良いものが多いです。日本のサイトは皆同じことばかりが書かれていますし、あとは販促文書だけしか見当たりません。日本の情報サイトでは知りたいことが全く分からないのだと実感します。

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2010年03月21日